この記事では、年間指導計画作成のポイントと、1年間の授業計画(例)をご紹介します。
あくまで私が勤務していた頃の話にはなってしまいますが、参考にしていただければ幸いです。
目次
年間指導計画作成のポイント
まずは、私が年間指導計画を作成する際に、特に気を付けていたことを3つご紹介します。
①年間の授業時数を意識する
中学校音楽科の年間授業時数は、1年生が45時間、2・3年生が35時間と決まっています。
これよりも少なくなってはいけないので、年間指導計画を作成する際にも、この計画で各学年の授業時数をクリアできるかは意識するようにしていました。
実際は、行事などの影響でクラスによって多少の誤差がありましたが、それでも全学年この授業時数はクリアしていました。
②学校行事を確認する
音楽科の場合、入学式や卒業式、合唱コンクールなどの学校行事で歌う曲が教材になるので、各行事の日から逆算して計画を立てる必要があります。
曲の難易度によって練習にかかる時間は異なるので、年間指導計画を作成する時点では曲を決めておくようにしていました。
③評価の時期から逆算する
定期テストの実施日や成績処理の〆切日を確認し、そこから逆算して指導計画を立てるようにすると、締め切り前に慌てずに済みます。
私は年間指導計画を作成する時点で、定期テストの出題範囲や各学期の評価材料(課題や実技テストなど)と実施時期も大まかに決めていました。
1年間の授業計画例
ここからは、私が過去の経験を基に考えた、各学年の授業計画をご紹介します。
あくまで、「私だったらこうするよ!」という例にはなりますが、年間指導計画を作成する際の参考にしていただければ幸いです。
尚、詳細については月毎にまとめているので、そちらも合わせてご覧いただければと思います。
※各月をクリックすると、各月の記事(詳細ページ)に飛びます。
※ここで紹介する実施内容・実施月・時数は一例なので参考程度に留めていただき、必ずご自身の責任において年間指導計画を作成するようにしてください。
中学1年音楽 授業計画例
実施月 | 授業内容 | 領域 | 時数 |
4月 | 授業開き(ガイダンス)+校歌 | 歌唱 | 1 |
校歌+「主人は冷たい土の中に」など | 歌唱 | 2 | |
変声期と混声合唱 | 歌唱 | 1 | |
5月~6月 | 混声合唱、指揮法 | 歌唱 | 3 |
「浜辺の歌」「赤とんぼ」 | 歌唱 | 4 | |
7月 | 「ジョーズのテーマ」 | 鑑賞 | 1 |
「魔王」 | 鑑賞 | 2 | |
7月~10月 | 合唱コンクール課題曲・自由曲 | 歌唱 | 10 |
10月 | 日本の民謡+アジア諸民族の音楽 | 鑑賞 | 3 |
11月 | ケチャ | 鑑賞・創作 | 2 |
11月~1月 | 雅楽 | 鑑賞 | 2 |
箏 | 器楽・創作 | 5 | |
「四季」 | 鑑賞 | 2 | |
2月 | 創作活動 | 創作 | 3 |
2月~3月 | 卒業式歌・入学式歌 | 歌唱 | 4 |
まとめの授業 | 歌唱 | 1 |
1学期の早い段階で(春に)「四季」を扱う方も多いと思いますが、私は入学して最初の鑑賞にしてはボリュームが大きいと感じていたので、3学期に扱っていました。
また、「浜辺の歌」と「赤とんぼ」を同時に、なおかつ早い時期に行うのは、拍子についての学習を兼ねていたからです。
中学2年音楽 授業計画例
実施月 | 授業内容 | 領域 | 時数 |
4月 | 授業開き(ガイダンス) | 歌唱 | 1 |
「翼をください」など | 歌唱 | 3 | |
5月~7月 | 「夏の思い出」、「サンタルチア」など | 歌唱 | 4 |
「フーガト短調」 | 鑑賞 | 2 | |
オーケストラ+「交響曲第5番ハ短調」 | 鑑賞 | 3 | |
7月~10月 | 合唱コンクール課題曲・自由曲 | 歌唱 | 8 |
世界の諸民族の音楽 | 鑑賞 | 1 | |
11月~1月 | オペラ・ミュージカル | 鑑賞 | 2 |
歌舞伎(+文楽、能) | 鑑賞 | 2 | |
器楽・創作活動 | 器楽・創作 | 5 | |
2月~3月 | 卒業式歌 | 歌唱 | 4 |
まとめの授業 | 歌唱 | 1 |
2年生の教科書には鑑賞教材がたくさん載っているので、総合芸術は総合芸術でまとめるなど、ある程度一体感をもって学習できるように計画を組んでいました。
中学3年音楽 授業計画例
実施月 | 授業内容 | 領域 | 時数 |
4月 | 授業開き(ガイダンス) | 歌唱 | 1 |
「花」 | 歌唱 | 3 | |
5月 | 「ボレロ」 | 鑑賞 | 3 |
6月~7月 | 「ブルタバ」 | 鑑賞 | 2 |
器楽・創作活動 | 器楽・創作 | 3 | |
7月~10月 | 合唱コンクール課題曲・自由曲 | 歌唱 | 8 |
世界の諸民族の音楽 | 鑑賞 | 1 | |
11月 | ポピュラー音楽 | 鑑賞 | 3 |
12月 | ポピュラーソング | 歌唱 | 3 |
1月 | 音楽史 | 鑑賞 | 3 |
1月~2月 | 器楽・創作活動 | 器楽・創作 | 2 |
2月~3月 | 卒業式歌 | 歌唱 | 4 |
まとめの授業 | 歌唱 | 1 |
3年生は、1ヶ月に1曲くらいのペースで授業を組むようにしていました。
※能や文楽は2年生のうちに扱うか、そうでない場合は、3年生の修学旅行前などに2時間くらいの鑑賞授業を行っていました。
(補足1)各題材で扱う教材について
前述の授業計画例には分かりやすいように教材名を記載していますが、毎年その教材を扱っていたわけではなく、題材目標や生徒の様子によって、使用教材は適宜変更していました。
年間指導計画を作成する際には、教材ありきで考えるのではなく、目標を達成するために適切な教材は何かという視点も大切だと思います。
(補足2)実技テストについて
上の表には記していませんが、各学年ともに、学期に1度、実技テストを行っていました。
課題は、その学期に学習した歌唱曲や器楽曲です。
年間指導計画を作成する際には、課題となる題材に時数をプラスします。例えば、3年生の課題曲を「花」とする場合、授業が3時間、実技テストが1時間なので、年間指導計画に記載する授業時数は4時間となります。
まとめ
さて、この記事では私の過去の教員経験を基に年間指導計画作成のポイントと1年間の授業計画例をご紹介しました。
ご紹介した内容はほんの一例ですが、少しでも参考になっていれば幸いです。
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