全学年の授業を受け持つことの多い音楽の先生にとって、学期末や学年末の評価の時期はまさに恐怖ですよね。
何百人分の成績を付けるので、毎回途方に暮れている方も多いのではないでしょうか?
ですが、日々生徒の授業時の様子を記録しておけば、成績作業時がほんの少し楽になります。
そこで、この記事では、毎回の授業におすすめな評価シートとその活用法をご紹介します。
音楽授業の必須アイテム 評価シート

まだ生徒全員の名前を覚えきれていない時期は、「授業中にあの生徒が良い発言をしていたけれど、何て名前だっけ?」なんてことがあるかもしれません。
そんなときには名簿よりも座席表の方が思い出しやすいので、私はこの形がおすすめです。
この用紙を全クラス・全授業分用意します。
音楽の授業は1年間に35~45時間なので、両面印刷の場合は1クラス18~25枚くらいになります。
これを学年ごとのファイルに綴じて保管しておきます。
1年生1学期、2年生1学期・・・というように各学年の学期ごとにファイルを分けるのがおすすめです。
評価シートの活用方法
授業前にあらかじめ記入しておくこと

①授業メモ
本時の目標や流れを記入します。(この例では流れのみ記入していますが…)
前時の進度により、クラスによって微妙に各活動の時間配分が変わることもあるので、私は一応クラスごとに考えておくようにしていました。
指導略案や授業ノートを別で作成しているのであれば、わざわざこのシートに書かなくても大丈夫です。
②評価メモ
本時の評価の観点と評価材料(何で評価するのか)をあらかじめ決めておきます。
今回の例であれば[思考・判断・表現]はワークシートで、[主体的に学習に取り組む態度]はパート練習中の様子で評価します。
授業中・直後に記録すること

③授業中の様子
生徒の様子を見ていて、良くも悪くも気になったことを授業中または授業直後に記録します。
今回の例では、主にパート練習中に気になったことや発言を名前の下に書き込んでいます。
時間がなければ評価がAかCになる生徒のみ記入します。
このメモさえしっかり書いていれば、後々「評価材料がなくて成績が付けられない!」ということは避けられそうです。
④遅刻・欠席
遅刻や欠席した生徒がいた場合には、その部分は評価に含めないので、シート内の空いているところにメモしておきます。
授業後、その日のうちに記録すること

⑤授業記録
授業の進度や次回の授業への引継ぎ事項を、授業後に記入しておきます。
全クラス同じ授業を行っていると「このクラスどこまでやったっけ?」「この話したっけ?」と分からなくなることもあります。
それでは授業準備もままならないので、忘れないうちに記録しておくと良いです。
「ここが不十分だったから次回確認しよう」というような引継ぎ事項をメモすることは、自身の授業改善にもつながるので大切です。
⑥ABC評価

各評価材料のABC評価は名前の横に記入します。
画像内の評価について補足すると、名前の左に書かれている評価はワークシートの記述内容(思)、右に書かれている評価はパート練習中の様子(態)です。
ワークシートの記述内容は、ワークシート回収後に記入します。
画像内のとりさんは、授業当日は欠席でしたが、後日ワークシートを提出したので評価が付けられるといった具合です。
パート練習中の様子は、③授業中の様子に記録されていることをもとに、
とりさん:この日の授業は残念ながら欠席
→記入なし
さるさん:強弱に関して良いところに気が付き、同じパート内の仲間に「こんな風に歌ってみよう」と提案したり、自ら表現を工夫したりしていた
→A
ねこさん:特に表現の工夫等をすることなく、周りの生徒に合わせて声を出すだけ
→C
その他の生徒:強弱記号を意識して、表現を工夫しようとしていた
→B
というように評価をつけます。(あくまで例です)
まとめ
さて、この記事では成績をつけるのに役立つ評価シートをご紹介しました。
ただし、今回ご紹介したやり方は特に気になった生徒の評価のみを記入するので、生徒によって記述が多かったり少なかったりと、偏りが出てしまいます。
なので、定期的に評価シートを見返し、記入の少ない生徒を特に意識しながら授業中の様子を観察すると良いと思います。
というわけで、今回の記事は以上です。
最後までご覧いただきありがとうございました。

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