
1年間で最も大切な1時間である授業開き。
この1時間をどのように過ごすかで今後の音楽授業の方向性が決まります。
ですが、授業開きの指導案はあまり出回っておらず、公開されている事例も少ないので、どのように進めればいいのかお悩みの方も多いのでは?
そこで、この記事では、私が実際に行っていた授業開きの進め方をご紹介します。
授業開きって何?どのような活動をすればいいの?という方は、まずはこちらの記事をお読みいただいてから続きをご覧ください。
新年度最初の授業はこう進める!
1時間の大まかな流れは下記の通りです。
①自己紹介とガイダンス≪25分≫
②力量把握→歌唱指導≪20分≫
③振り返りと次時予告≪5分≫
それでは、各活動についての具体的な流れと留意事項をご説明します。
①自己紹介とガイダンス ≪25分≫
・教師の自己紹介
簡潔に「音楽を担当します○○です。これから1年間よろしくね!」程度で問題ありません。
先生が何歳だろうがどんな趣味があろうが授業には関係ないので、プライベートなことを話すのなら休み時間で十分です。
質問タイムなんてあれば「先生好きな人いますか?」などと言い始め、収拾がつかなくなるのでお気を付けください。(実習生の授業でそんなことがありました。)

もし生徒に自己紹介をさせるなら、音楽科らしい自己紹介がおすすめです。(詳しくはこちら)
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音楽の授業開きにおすすめ!面白い自己紹介ネタ3選
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・授業の受け方とルールの提案
どのように授業を受けてほしいのか、どのようなルールを守ってほしいのかを提案します。
こちらの記事にも書いてありますが、私が生徒に伝えていた授業の受け方とルールは下記の通りです。
【授業の受け方】
・音楽の感じ方は人それぞれなので、素直に音を楽しんで、安心して自分の意見を発信してほしい。
【守ってほしいルール】
・ヒトやモノを傷つけない。
・手を抜かない。
このことを伝えるために以下のような活動を行っていました。
①全員にA4の白紙を配布し、ペンを用意させる。(タブレットでもOK!)
②曲を1分程度聴かせる。(「○○のCMだ!」などと思い浮かばないような曲)
③配布した紙に、曲を聴いて感じたことを全員が見えるくらい大きな字で書かせる。
④「せーの」で紙を提示させ、それぞれの意見をじっくり見合う時間をとる。
⑤音楽の感じ方は人それぞれだということを実感させる。
⑥授業の受け方を提案する。
私の場合、「音楽の感じ方は一人ひとり違うから正解なんてない!」ということを伝えたかったので、このような活動をしていました。
※どのような授業の受け方、ルールを提案するかによって効果的な活動は異なります。
・毎回の持ち物の確認
ルールを確認したのち、毎回の授業の持ち物を確認します。
教科書類は氏名がきちんと書かれているかも同時に確認しましょう。
もし書いていない生徒がいた場合は、その場で書かせるので、最初の授業には名前ペンを持って来させると良いです。
また、今後忘れ物をした場合どうするかもこのタイミングで伝えます。
・教科書を見ながら学習内容の確認
「せっかく手に取ってもらったからちょっと教科書を見てみよう」と言って教科書を開かせ、生徒が興味を示した曲があればCDや範唱を聴かせたり、一緒に歌ったりします。
ここでの食いつき具合で、何となく音楽に興味があるかどうかが分かりますね。
・ガイダンス資料を配布し、授業について説明
1年間の学習内容、授業の進め方、評価方法について説明します。
口頭で説明するよりもガイダンス資料がある方が分かりやすいので、用意しておくことをおすすめします。

②力量把握→歌唱指導 ≪20分≫
・既習曲を歌ってみよう!
集団として、どの程度歌唱・合唱に取り組めるかを把握します。
クラス替え時に伴奏者は均等に分配されているものの、生徒の歌声なんて加味されていないので、中には歌が苦手な生徒ばかりが集まっているクラスもあり、指導に困ることも多いです。
クラスごとのレベルを知るために、最初の授業では歌唱指導(できれば合唱)を行うことをおすすめします。
ですが、いきなり新しい曲を歌わせてもできないのは当たり前。
まずは既習曲を歌わせ、生徒の実力を計りましょう。
既習曲を歌わせる流れは1年生と2・3年生とで違います。
- 1年生
- 2・3年生の場合
「今までどのような曲を学習してきた?」と聞きながら全員が歌えそうな曲を歌わせてみます。複数校から来ている場合は難しいのですが、小学校の校歌を事前に把握しておき、伴奏を弾いてあげると歌ってくれるはずです。
「入学式での合唱素敵だったね!もう一度聴かせてほしいな」もしくは「昨年の合唱コンクールで何を歌ったの?」と言って合唱を聴かせてもらいます。ここで各パートのバランスも確認します。
・もっとこうしたらどう?
既習曲を歌わせた後、「ここがこんな風にいいね!」とほめ、「もっとこうしてみたらどうかな?」とアドバイスをする流れで、少し歌唱指導を行います。
できていないところを指導するよりは、生徒たちの良いところを伸ばすイメージです。
ここでの指導が楽しかったり効果を実感できたりするものだと、生徒は「授業が楽しい」と感じてくれます。
・発声練習をやってみよう!
※この活動は既習曲を歌わせる前でもよいかもしれません。
私の場合、歌唱授業の際に発声練習を行っていたので、次回から滞りなく行えるよう、最初の授業でやり方を説明していました。
新しい曲に挑戦!
時間があれば、新しい曲(次の授業で歌う曲など)の導入に入ります。
1年生は校歌、2年生は「翼をください」や「夢の世界を」、3年生は「花」を扱うことが多いです。
範唱を聴く、もしくは1番の主旋律だけをみんなで歌ってみる、曲にまつわる面白エピソードを話す等、生徒が教材に興味をもつような導入を行えると良いですね。
③振り返りと次時の予告 ≪5分≫
次回の授業で何を行うのか簡潔に説明し、振り返りカードを記入させます。
まとめ
改めて、今回ご紹介した授業開き(1時間)の進め方をまとめておきます。
- 自己紹介をする
- 授業の受け方やルールを提示する
- 毎回の持ち物を確認する
- 教科書・ガイダンス資料を基に1年間の学習内容を伝える
- 既習曲の歌唱指導・発声練習を行う
- 次の授業の予告をする
- 振り返りカードを記入させる
こうやって見ると、随分やることが多いような気がしますが、ひとつひとつの活動は短く簡単なものなので、テンポよく進めていきましょう。
というわけで、この記事では私が実際に行っていた授業開きの進め方をご紹介しました。
少しでも皆さんのお役に立てていれば幸いです。