音楽史と言えば、バロックや古典派など西洋で発展したクラシック音楽が中心ですが、日本において音楽はどのように発展してきたのでしょうか。
この記事では、日本の音楽史について、ざっくりとした歴史の流れを解説します。
【音楽史】を題材とした授業の進め方やワークシートは以下のnote(有料)で紹介しています。
日本音楽史の歴史区分
日本と西洋音楽の歴史区分は以下の通りです。
日本では、バロックのように各時代の音楽に名前が付けられているわけではないので、通常の日本史と同じ歴史区分を記しています。
クラシック音楽の中心であるバロック~ロマン派時代は、日本では江戸時代~明治時代にあたります。
江戸時代と言えば、日本が鎖国を実施していた頃なので、西洋音楽の流入が遅れたことにより、日本独自の音楽文化が発展したのでは?と思います。
それでは、ここからは日本の各時代の音楽について説明します。
奈良時代の音楽
・楽器や舞楽の伝来
古墳時代にも「フエ」などは存在していましたが、奈良時代に、中国や朝鮮半島から楽器や舞楽が伝来したことで、日本の音楽史は動き出します。
この時に輸入された雅楽は貴族、散楽は庶民の間で広まったそうです。
平安時代の音楽
・雅楽の誕生
奈良時代に伝来された「雅楽」に、日本に古くからある歌や舞と平安時代に新しく作られた歌が合わさって、「雅楽」が国風化されます。
雅楽は、その後、宮中や貴族の儀式の際に演じられる式楽となります。
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・今様の大流行
中国や朝鮮半島から伝わった歌曲は次第に廃り、日本で新しい歌曲が作られるようになりました。
そのひとつが、七五調四句の詞型を特徴とした今様(いまよう)です。
雅楽「越天楽」のメロディに歌詞を付けた「越天楽今様」が有名です。
今様は庶民の間で生まれ、発展したものですが、平安末期には貴族の間でも大流行し、後白河法皇が熱中しすぎて喉を傷めたという逸話も残っています。
しかし、時代が進むにつれてブームは去っていき、鎌倉時代にはほとんど絶えてしまいました。
鎌倉時代の音楽
・琵琶法師による「平家物語」
この頃には、琵琶(びわ)を伴奏に「平家物語」を語る平曲が生まれ、諸国を流浪する琵琶法師が、日本各地に広めていきました。
平曲を作る作曲家のような仕事もでき、日本でも音楽で収入を得る人が増えていったそうです。
・貴族から武士へ
世の中は武家社会となり、政治や文化の中心が貴族から武士へと変わりました。
これまで音楽の中心は貴族が好む雅楽でしたが、武士がこれに興味を示さなかったため、雅楽は次第に衰退し、代わりに、散楽などの大衆的なものが音楽の中心となりました。
室町~安土・桃山時代の音楽
・能の大成
奈良時代に伝来し、庶民の間で親しまれてきた散楽を基に、観阿弥・世阿弥が能を大成します。
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・三弦の流入
中国から琉球(現在の沖縄)を通じて三弦が伝来します。
この三弦は、のちに三味線へと形を変え、浄瑠璃の伴奏楽器として使われるようになります。
江戸時代の音楽
・文楽と歌舞伎の大流行
竹本義太夫が竹本座を創設するなど、三味線を伴奏楽器とした浄瑠璃が流行し、中でも文楽が人気を博します。
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また、1603年頃に出雲阿国が始めた「かぶき踊」を基に、歌舞伎が誕生し、江戸時代後期には、庶民の娯楽として大流行となります。
歌舞伎役者の髪型やファッションを庶民が真似るなど、当時の歌舞伎は流行の最先端だったそうです。
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そして、能で流行した演目を文楽や歌舞伎でリメイク上演するなど、それぞれの芸能が影響し合いながら、日本独自の音楽が発展していったのです。
・ペリー来航と軍楽隊
当時の日本は、戦国時代が終わったと思ったら鎖国となり、海外からの音楽の流入は一時ストップしていました。
ところが、ペリーの来航時に港で軍楽隊の音楽を耳にし、その後の明治時代の音楽に大きな影響をもたらすのです。
これまで楽器と言えば三味線や箏などが主流だったので、当時の人々はさぞ驚いたことでしょう。
明治時代以降の音楽
・西洋音楽の流入と滝廉太郎の登場
明治時代になると、西洋音楽(いわゆるクラシック音楽)の演奏会が各地で行われるようになり、軍楽や教育にも取り入れようとする動きが盛んになります。
ですが、西洋音楽の作り方が分からない当時の日本では、元々あった西洋のメロディに日本語の歌詞を当てはめるのが主流で、これが歌いづらいと不評でした。
そんな中、滝廉太郎が西洋音楽の音階を用いて「荒城の月」を作曲しました。
・音楽が「娯楽」に
時代が進むにつれ、レコードやラジオが普及し、誰もが音楽を気軽に聴くことができるようになりました。
それに伴い、各地の民謡や歌謡曲などが「娯楽」として親しまれるようになり、日本においても音楽は生活の一部となっていったのです。
まとめ
さて、この記事では日本音楽の歴史の流れをご紹介しました。
かなりざっくりとした内容ではありましたが、参考になっていれば幸いです。
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