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鑑賞授業

日本の伝統芸能を音楽の授業で扱う際のポイント

元中学校音楽教師のめりーです。日本の伝統芸能を題材とした授業づくりのポイントをご紹介します。

歌舞伎雅楽など、中学校の音楽の授業では日本の伝統芸能を扱うことになっていますよね。

ですが、西洋音楽に比べ、日本の伝統芸能に馴染みがない分、授業をどのように進めればいいか分からないという方も多いのではないでしょうか?

そこで、この記事では、私が歌舞伎や能などの伝統芸能を授業で扱う際に意識していたポイントをご紹介します。

日本の伝統芸能とは?

授業のポイントをご紹介する前に、そもそも日本の伝統芸能とはいったい何を指すのかということについて。

日本の伝統芸能とは、西洋文化が入ってくる前から受け継がれてきた芸術と技能のことです。

歌舞伎雅楽など音楽に関するものだけでなく、漆器和歌相撲など様々な分野のものが伝統芸能とされています。

その全てをご紹介すると、とてつもない量になるので、中学校の音楽授業で扱う伝統芸能を以下に挙げておきます。

  • 雅楽
  • 日本古来の歌や舞に、アジア各地から伝来した音楽や舞などが合わさってできた芸術(詳しくはこちら

  • 能楽のうち歴史や伝説を題材とした歌舞劇(詳しくはこちら

  • 文楽
  • 音楽とセリフを語る「浄瑠璃」と「人形劇」が合わさってできた芸術(詳しくはこちら

  • 歌舞伎
  • 音楽、舞踊、演技が一体となってできた総合芸術(詳しくはこちら

  • 邦楽
  • 筝曲や尺八楽など、和楽器の演奏やその曲

それでは、これらの伝統芸能を授業で扱う際に、私が意識していたことをご紹介します。

伝統芸能を授業で扱う際のポイント

①伝統芸能の魅力を知る。

授業で教えるにしても、まずは自分自身が各伝統芸能の特徴や魅力を知っていなければ何も始まりません。

実際に見たことがあるのとないのとでは、授業での説得力が全く違うので、まず鑑賞することが最初のステップです。

そして、鑑賞した際に気が付いたことや疑問に思ったことなどを調べるのが次のステップ。

おそらく生徒も同じようなことに気付いたり分からなかったりするので、その部分を取り入れると、より授業は分かりやすくなります。

今は、なかなか劇場に足を運ぶのが難しいので、ご自宅でDVD等を鑑賞する方も多いと思いますが、その際には、ダイジェスト版ではなく、ぜひ一つの作品を最初から最後までじっくり鑑賞するようにしてくださいね。

②授業の主軸を決める。

1つの題材についてほんの数時間しか扱えない音楽の授業で、伝統芸能の特徴や魅力すべてを伝えきることは難しいです。

ゆえに、授業の軸を決めることが大切。

例えば、私は雅楽を題材とする場合、1時間目は雅楽の概要説明や管絃で用いられる楽器紹介、2時間目は「越天楽」の鑑賞というように、「管絃」を軸とした授業を行っていました。

→雅楽の授業実践例(指導略案・ワークシート)

何を軸とするかは、題材目標や前後の授業、生徒の実情などによって異なります。

③特徴や魅力を押し付けない。

これも伝統芸能に限ったことではないのですが、人の感性はそれぞれなので、同じ音楽を鑑賞しても違う感想をもつのは当然のことです。

特に伝統芸能は、馴染みのない旋律や音色が多いので、苦手意識をもつ生徒もいますし、心地よいと感じる生徒もいます。

そんな時に、「歌舞伎は迫力があってかっこいい芸能です。」「能の舞は美しいものです。」など、先生自身の主観が前面に出てしまうと、生徒の感じたことが台無しになります。

そうならないよう、私はなるべく教師主導ではなく、生徒の気付きを中心に授業を進めるようにしていました。

④用語の読み方を常に意識する。

例えば、能でシテがかける「」。

おもて」と読みますが、慣れていないと、ついつい「めん」と言ってしまいがち。

せっかく生徒に「おもて」と教えているのに、先生が「めん」と言えば元も子もないので、特に慣れない読み方の用語がある場合は、説明時に少し意識すると良いです。

⑤ワークシートの穴埋めは減らす。

ワークシートを作成する際に、大事な用語の部分を穴埋め形式にする方は多いと思います。

しかし、伝統芸能で使われている用語は"篳篥"など漢字が難しい場合もあり、授業内で穴埋めをさせると、それだけでかなりの時間が取られてしまいます。

授業のほとんどを、ワークシートの穴埋めで終わらせてしまうのはもったいないので、特に伝統芸能の場合は、穴埋め箇所を減らすのがおすすめです。

ワークシートの作成方法はこちらの記事でご紹介していますので、良ければ合わせてご覧ください。

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まとめ 最大のポイントは?

さて、この記事では日本の伝統芸能を授業で扱う際に私が意識していたポイントをご紹介しました。

とは言っても、ほとんどが西洋音楽を題材とした授業にも通じるようなことでしたね。

結局、音楽の授業づくりの最大のポイントは"その音楽を知ること"

伝統芸能だからと言って苦手意識をもったり、かまえたりせず、まずご自身がその音楽を理解できるよう、教材研究を行うことが大切です。

こちらの記事では、教材研究の進め方をご紹介していますので、よければ合わせてご覧ください。

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