ベートーヴェンはどんな人?

音楽史

ベートーヴェンの偉大な功績や面白いエピソード、代表曲まとめ

元音楽教員めりーです。ベートーヴェンについて解説します。

最も有名な音楽家と言っても過言ではないベートーヴェン

音楽室にあるしかめっ面の肖像画」のイメージが強いですが、実際はどんな人だったのでしょうか?

そこで、この記事では、ベートーヴェンの偉大な功績やエピソード、代表曲をまとめてみました。

ベートーヴェンについて詳しく知りたい方や、授業で話せるネタをお探しの方のお役に立てれば幸いです。

ベートーヴェンはどんな人?

まずは、ベートーヴェンについて簡単にご紹介します。


(画像はWikipediaより)

ベートーヴェン

●1770年~1827年 ドイツ生まれ

●「交響曲第5番 ハ短調(運命)」など多くの名曲を生み出した、古典派音楽を代表する作曲家

古典派音楽とは、西洋における1750年頃から1820年代までの音楽のこと。

ベートーヴェンは、ハイドンモーツァルトと並び、この時代を代表する作曲家として知られています。

これだけではベートーヴェンのすごさが分からないですよね…

というわけで、ここからはベートーヴェンの偉大な功績をご紹介します。

ベートーヴェンの偉大な功績3つ

①数々の名曲を生み出した

現代には様々な音楽がありますが、ほんの少し流行を過ぎてしまうと、「古い音楽」「昔流行った曲」と思われがち。

ですが、ベートーヴェンの曲は、死後200年近く経ってもなお、演奏され続け、色あせることがありません。

長い間ずっと愛され続ける曲を多く生み出したベートーヴェンは、やはり偉大なのです。

②音楽を「芸術」に変えた

クラシック音楽のコンサートは、黙って静かに聴かなければいけないという暗黙のルールのようなものがありますよね。

ですが、ベートーヴェンが活躍する以前は、そうでもなかったのです。

というのも、昔は、音楽は貴族のための「娯楽」の一つであり、パーティーのBGMや余興程度の存在でした。

ゆえに、演奏中におしゃべりしたり食事をしたりというのが当たり前。

ところが、ベートーヴェンは「演奏中は黙って俺の音楽を聴け」と、現代のコンサートにおけるルールを定着させたのです。

これは、音楽が「娯楽」から「芸術」に変わったことを表しています。

②音楽家の働き方改革を成し遂げた

前述のように、音楽は貴族のための「娯楽」だったので、音楽家たちの働き方も、貴族に雇われ、依頼通りに作曲するのが一般的でした。

ですが、ベートーヴェンは「自分の作りたい曲をつくる!」という信念のもと、フリーの音楽家として活躍しました。

その証拠に、ベートーヴェンはカツラを被っていません!

ベートーヴェンだけカツラじゃない

ベートーヴェンが「楽聖」と呼ばれるのはなぜ?

前述の通り、ベートーヴェンは名曲を生み出しただけでなく、音楽を「芸術」へと昇華させ、音楽家の働き方まで変えてしまいました。

彼の存在は、後世の音楽家たちにも影響を及ぼし、次第に誰もが「自分の作りたい芸術作品」を追求するようになります。

音楽家たちの意識や働き方、音楽そのものの価値観を変えたことから、聖なる音楽家、つまり「楽聖」と呼ばれるようになりました。

自分の作りたい音楽を追求するのはロマン派音楽の特徴なので、ベートーヴェンはキャリア前半は古典派、後半はロマン派の作曲家だと言えますね。

ベートーヴェンにまつわるエピソード6つ

①第2のモーツァルトに…!

「神童」と称される天才音楽家モーツァルトは、幼い頃からヨーロッパ各地で演奏活動を行っていました。

そんな彼の噂を耳にしたベートーヴェンの父は「息子を第2のモーツァルトにしてやる!」と幼い頃から厳しい音楽教育を施していたそうです。

その甲斐もあって、ベートーヴェンも10代の頃から音楽家として一家の家計を支えるようになりましたが、モーツァルトほどの人気は得られませんでした。

それでも、彼は音楽家として活躍することを夢見て、両親を亡くした後は弟2人を抱え、音楽の都ウィーンへ移り住むようになります。

このとき、ベートーヴェンは22歳でした。

②引っ越し魔!

ウィーンへ移り住んで以来、ベートーヴェンは79回も引っ越しをしたと言われています。

その理由は、生活環境を変えて新しい音楽を創造するため。

ですが、他にも掃除をするのが苦手ご近所トラブルを頻繁に起こしていたから引っ越しをせざるを得なかったという説もあります。

掃除嫌いで身なりを気にしないことから「汚れ熊」と呼ばれたこともあったようです。

③難聴の原因はワインの飲みすぎ?

ベートーヴェンは、作曲家の全盛期から難聴に悩まされていました。

そんな状態でも多くの名曲を作り上げた彼は、やはりすごい人ですが、実は難聴の原因はワインのせいなのでは?という説があります。

というのも、当時のワインには鉛の化合物が入っていて、決して無害ではなかったとか。

ですが、ベートーヴェンは1日に3ℓも飲むほどの、大のワイン好き。

難聴の原因は諸説ありますが、最も有力なのはワインの飲みすぎによる鉛中毒だそうです。

好きなものに身を滅ぼされるなんて、つらすぎます…

④「遺書」は弱い自分そのもの!

難聴に悩まされ、創作活動が行き詰まったとき、ベートーヴェンは「遺書」を書きました。

ですが、それを誰かに届けることも、ましてや自分で命を絶つことも彼にはできませんでした。

そこで彼は、「遺書」を弱い自分そのものだとし、鍵のかかる箱にしまったそうです。

そうして弱い自分と決別したことで、負の感情から抜け出し、また創作活動に打ち込むことが出来るようになりました。

この「遺書」は、それが書かれた地名にちなんで、「ハイリゲンシュタットの遺書」と呼ばれています。

⑤葬儀には2万人が参列!

1827年、56歳で亡くなったベートーヴェンの葬儀には、およそ2万人もの市民が参列したと言われています。

これは、当時のウィーン市民の14人に1人が参列していた計算になるそうです。

肖像画のせいなのか、ベートーヴェンは近寄りがたいイメージがありますが、生前から多くの人に愛され、尊敬されていたのですね。

ちなみに、参列者の中には、翌年亡くなったシューベルトもいました。

⑥しかめっ面の原因は朝食?

ベートーヴェンと言えば、肖像画のようなしかめっ面を想像する方が多いと思いますが、彼も年中怒っていたわけではありません。

ただちょっと、肖像画を描いてもらう当日の朝食に不満があっただけなのです。

その日の朝食はベートーヴェンの大好物であるマカロニチーズ!

にもかかわらず、お手伝いさんが焦がしたから、それはもう怒り狂って…いつまで経っても機嫌が直らず、結局そのままの顔で肖像画が描かれてしまったのです。

確かにマカロニチーズは美味しいけれど、そこまで怒らなくても…ね。

ベートーヴェンの代表曲3つ

数多くの名曲から、代表曲を選ぶのは至難の業ですが、ここでは誰もが聴いたことのある有名な曲を3つピックアップしました。

交響曲第5番 ハ短調(運命)

ジャジャジャジャーン」という冒頭のメロディを聴いたことがない人はいないのではないでしょうか?

日本では「運命」という名で知られ、様々な場面で演奏される名曲です。

交響曲第9番 ニ短調 合唱付き

日本では「第九」と呼ばれる、年末にお馴染みの交響曲。

特に第4楽章(「歓喜の歌」)は有名で、交響曲に合唱を統合した非常に画期的な曲です。

エリーゼのために

ピアノソナタなど有名なピアノ曲は数多くありますが、今回は「エリーゼのために」をピックアップしました。

冒頭のフレーズは、ピアノを弾いたことのある方なら(ない方でも)聴いたことがあると思います。

他にも有名な作品がたくさんあるので、ぜひいろいろと聴き比べてみてくださいね。

まとめ ベートーヴェンはやっぱり偉大!

この記事ではベートーヴェンの功績やエピソード、代表曲をご紹介しました。

ベートーヴェンという音楽家の偉大さ、そして人間味を感じていただけたのではないでしょうか。

\指導案・ワークシートのダウンロードはこちら/


オペレッタとは?

鑑賞授業

2023/5/26

オペレッタとは?オペラとの違いや有名な曲も合わせて解説

元音楽教師めりーです。 オペラについて勉強していると、たびたび遭遇する「オペレッタ」という言葉。 なんとなくオペラの派生版かな?というような気がしますが、実際のところオペレッタとは何なのでしょうか? この記事では、オペレッタとは何かについて、オペラとの違いやそれぞれの代表曲と合わせて解説します。 目次オペラとは?オペレッタとは?オペレッタとオペラの違いは?オペレッタの有名な曲3選①「こうもり」序曲①「天国と地獄」序曲③「軽騎兵」序曲 オペレッタについて説明する前に、まずはオペラについて。 オペラとは? オ ...

ReadMore

令和版!面白い「魔王」の指導案

鑑賞授業

2023/4/5

令和版!「魔王」指導案・ワークシートのダウンロード【中学音楽】

元中学校音楽教員めりーです。 この記事では、noteで公開中の「魔王」鑑賞授業例の内容をご紹介します。 授業の進め方にお悩みの方、すぐに使える指導案・ワークシートをお探しの方の参考になれば幸いです。 目次「魔王」鑑賞授業例の内容・「魔王」鑑賞授業の概要・ダウンロード資料「魔王」鑑賞授業例のポイント 「魔王」鑑賞授業例の内容 上の記事では、シューベルト作曲「魔王」を主教材とした鑑賞授業の進め方を紹介しています。 中学校に入学して初めての本格的な鑑賞授業におすすめの内容です。 ちなみに、私は1学期に「ジョーズ ...

ReadMore

中学校音楽自習プリントのダウンロード

自習課題

2023/4/5

すぐ使える!中学校音楽の自習プリント【ダウンロード】

元中学校音楽教員めりーです。 万が一、音楽の授業ができなくなった場合に役立つ自習プリント。 いざという時のために用意しておきたいけど、準備する暇がない!という先生も多いのではないでしょうか? そこで、この記事では、noteで公開中の授業資料から、すぐに使える音楽の自習プリントをご紹介します。 目次まずはこれ!音楽の自習プリント音楽記号・用語一覧プリント練習問題付き!楽典まとめプリントお楽しみ課題!クロスワード まずはこれ!音楽の自習プリント 中学校の学習内容を網羅したプリントです。 楽典(音楽の基礎知識) ...

ReadMore

歌唱指導のやり方・方法まとめ

歌唱授業

2023/3/27

音楽授業における歌唱指導の方法・音取りのポイント

元中学校音楽教員めりーです。 音楽の授業で必ず行う歌唱指導。 にもかかわらず、どのような流れで進めるのか、どのように音取りを行うのかといった具体的な指導法は誰も教えてくれないですよね。 そこで、この記事では私の歌唱指導の方法をご紹介します。 「これが正解!」というわけではありませんが、少しでも皆さんの参考になれば幸いです。 目次歌唱指導って何するの?歌唱指導(音取り)の基本的な流れ1時間目の流れ2時間目以降の流れ歌唱指導(音取り)のコツコツ①常に全員でなくても良いコツ②表現の工夫につなげるまとめ \合唱指 ...

ReadMore

音楽授業のコツおすすめの常時活動

常時活動

2023/3/24

新年度から始めたい!音楽授業におすすめの常時活動

元音楽教員めりーです。 「授業の進め方が分からない」と悩んでいる時は、毎回の授業で行う常時活動を取り入れるのがおすすめ! 常時活動を行うことで、流れが構築でき、授業がしやすくなるからです。 ですが、常時活動は1年間続けることに意味があるので、どのような活動を取り入れるかは慎重に考えなければなりません。 そこで、この記事では、これまでに当サイトやnoteで公開中の音楽授業ネタから、特におすすめの活動を厳選してご紹介します。 参考にしていただければ幸いです。 目次①5分間ミュージック②ミュージックトラベル③今 ...

ReadMore

中学校音楽科年間指導計画例

授業の基本

2023/5/26

中学校音楽科の年間指導計画例(授業実践の紹介あり)

元中学校音楽教員めりーです。 1年間の授業の内容をあらかじめ計画だてておく、年間指導計画。 教科書会社提供の資料を参考にしながら作成している方も多いと思います。 ですが、実際の学校現場では、どの授業をどのタイミングで、どのくらいの時間をかけて行っているか気になりませんか? そこで、この記事では、私が教員時代に行った1年間の授業内容を基に、各学年の指導計画例をご紹介します。 あくまでも目安ではありますが、参考になれば幸いです。 目次中学校音楽科の年間授業時数年間指導計画(中学1年音楽)年間指導計画(中学2年 ...

ReadMore

音楽ICT授業のアイディア

器楽・創作・ICT授業

2023/4/5

ICTを活用した音楽授業(指導案・ワークシート)まとめ

元音楽教員めりーです。 この記事では、noteで公開中の授業例の中から、ICTを活用した音楽授業を5つピックアップしてご紹介します。 「音楽の授業で生徒用タブレットをどのように活用すべきか分からない」とお悩みの先生方の参考になれば幸いです。 目次①【雨の音】創作授業②【オリジナルチャイム】創作授業③「きらきら星変奏曲」鑑賞・創作授業④【ケチャ】鑑賞・創作授業⑤「四季」より「春」の鑑賞授業 日々の授業にパッと取り入れられるICT活用例はこちら ①【雨の音】創作授業 クローム音楽実験ラボ(Chrome Mus ...

ReadMore

面白い音楽授業ネタ中学

ゲーム・クイズ

2023/4/5

面白い!すぐできる!音楽授業ネタおすすめ5選

元音楽教員めりーです。 「授業に楽しい活動を取り入れたいけれど、準備する時間がない」とお悩みの先生方は必見! この記事では、これまでに当サイトやnoteで公開中の音楽授業ネタから、特におすすめの活動を5つ厳選してご紹介します。 目次①クイズ「私は誰でしょう?」②歌詞ビンゴ③「崖の上のポニョ」大賞を決めよう!④音楽マッチングゲーム(神経衰弱)⑤イントロかるた ①クイズ「私は誰でしょう?」 有名な作曲家に関するキーワードを1つずつ提示し、作曲家名を推理させるクイズ形式の活動です。 楽しみながら作曲家について学 ...

ReadMore

-音楽史
-, , , ,

© 2023 めりー先生の音楽準備室