元中学校音楽教師のめりーです。滝廉太郎について解説します。
日本を代表する作曲家、滝廉太郎。
「顔は見たことがあるけれど、いまいち何をした人かよく分からない」という方も多いのでは?
そこで、この記事では滝廉太郎にまつわる5つのエピソードと代表曲をご紹介します。
滝廉太郎について知りたい方や、授業で話せるネタをお探しの方のお役に立てれば幸いです。
滝廉太郎はどんな人?
まずは、簡単に滝廉太郎についてご紹介します。

滝廉太郎
●1879年~1903年 東京生まれ
●「荒城の月」や「箱根八里」など今なお歌い継がれる名曲を生み出した、日本を代表する作曲家
滝廉太郎について、「音楽の教科書に載っている人」「丸メガネをかけた地味な人」くらいの印象しかない方も多いと思います。
ですが、ただの「眼鏡をかけた作曲家」ではありません。
実は、日本の音楽史にとてつもない革命を起こした人なんです!
そんな滝廉太郎にまつわる5つのエピソードをご紹介します。
滝廉太郎にまつわるエピソード
史上最年少で東京音楽学校に入学!
地方官であった父の影響で、廉太郎は幼い頃から神奈川県、富山県、大分県へと転校を繰り返し、各地で音楽の素養を身に付けていきました。
中でも、本格的に音楽の道に進む決意を固めたのは大分県での話。
というのも、当時通っていた直入郡小学校高等科には、当時はまだ珍しいオルガンが置かれていました。
オルガンの魅力に取りつかれた廉太郎は毎日のように練習にのめりこみ、その才能を開花させるのです。
そしていつしか音楽の道を志すように…
ところが、父は猛反対。
そんな時、廉太郎の力になってくれたのは叔父の大吉でした。
「天分を全うさせることが、本人のため」という叔父の一言が決定打となり、廉太郎は史上最年少の15歳で東京音楽学校(現・東京藝術大学)に入学することになります。
そして、東京音楽学校在学中は特にピアノ演奏でその才能を発揮し、19歳で本科を首席で卒業したのち、研究部に進みます。
日本で初めて○○した人!
当時の日本では、西洋音楽を取り入れる動きがあり、外国のメロディに無理やり日本語の歌詞を当てはめるのが主流でした。
ところが、これが歌いにくいと不評だったため、文部省は、中学唱歌の作曲家を募集することに。
その中の課題のひとつが「荒城の月」(土井晩翠作詞)です。
廉太郎は、日本独自のヨナ抜き音階(5音)ではなく、西洋音楽の音階(7音)でメロディを作り、応募しました。

これが、当時の人からすれば、今までの常識を覆す大革命!
瞬く間に国内外から賞賛を得ることになります。
こうして、廉太郎は、日本で初めて西洋音楽を取り入れた作曲家として有名になりました。
日本の音楽が、西洋音楽に、そして今の日本のポップスに一歩近づいた瞬間ですね。
ちなみに、日本で初めてピアノの独奏曲を作った人でもあります。
そのピアノ曲がこちら。「メヌエット」です。
ドイツ留学はたった5ヶ月…
東京音楽学校で優秀な成績をおさめていた廉太郎は、ドイツのライプツィヒ音楽院(メンデルスゾーン設立)に留学します。
しかし、留学からわずか5ヶ月後、結核を患い、志半ばで日本に帰国することに…
帰国後は、父の故郷である大分県で療養しますが、体調は回復することなく、23歳という若さでこの世を去りました。
当時、結核は不治の病として人々から恐れられていたため、廉太郎の死後、多数の作曲(楽譜)が焼却されてしまったそうです。
最期の作品は「憾(うらみ)」
そんな廉太郎の遺作は、「憾(うらみ)」というタイトルのピアノ曲です。
これは、誰か特定の人を恨んでいるわけではなく、「まだまだやりたいことがあったのに悔しい」というこの世への未練を表現していると言われています。
モテ男だったのでは?
さて、日本の音楽史において、いかに重要な存在かがお分かりいただけたかと思います。
ですが、実は東京音楽学校時代、音楽と同じくらいテニスに夢中になっていたそうです。
テニスは今でこそメジャーですが、当時は日本に伝わってまだ間もない頃でしたので、そういった意味では最先端の人だったと言えます。
音楽もスポーツもできて、新しいことにも果敢に挑戦する姿に、世の女性たちはメロメロになっていたかもしれませんね。
滝廉太郎の代表曲
23年という短い生涯の中で、廉太郎が残した作品はわずが34曲。(「メヌエット」と「憾」以外は全て声楽作品)
その中で「滝廉太郎と言えば!」という代表曲を3つピックアップしました。
「荒城の月」
日本で初めて作られた西洋音楽で、哀愁漂う旋律が、世の儚さを表す名曲。大分県竹田市にある岡城をイメージして曲を作ったそうです。
→「荒城の月」歌詞の意味や作曲背景などのポイントを総まとめ!
→中学音楽「荒城の月」歌唱授業実践例(指導案とワークシート)
アカデミー賞を受賞した映画「ラ・ラ・ランド」の中でも、使用されていました。
原曲とは雰囲気がかなり異なり、非常におしゃれにアレンジされていますね。
「花」(組歌「四季」より)
春の隅田川の情景を表した名曲。東京都の墨田区では「区民の愛唱歌」に指定されており、浅草駅の発車メロディーにもなっています。
→「花」(武島羽衣作詞/滝廉太郎作曲)の歌詞の意味を分かりやすく解説!
→中学音楽「花」歌唱授業実践例(指導案とワークシート)
「箱根八里」
「荒城の月」と同じく、中学唱歌のひとつですが、こちらはヨナ抜き音階で作られています。
箱根の山の険しさやと、それを越えていく人々のたくましさが描かれ、行進曲風のリズムが特徴です。
他にも「お正月」や「雪やこんこん」、「鳩ぽっぽ」なども有名です。
まとめ 滝廉太郎は日本音楽の革命児!
さて、この記事では滝廉太郎にまつわるエピソードと代表曲をご紹介しました。
改めてまとめると、

という、すごい大業を成し遂げた人なんですね。
今の日本の音楽があるのは、滝廉太郎のおかげと言っても過言ではありません。
というわけで、今回の記事は以上です。
最後までご覧いただきありがとうございました。

音楽授業における「調べ学習」のポイントとテーマ例
元音楽教師めりーです。ICT活用の定番「調べ学習」についてお話しします。 GIGAスクール構想により、ICTを活用した授業が求められる今、音楽の授業でどのように活用すべきか悩んでいる先生方は多いと思います。 そんな中、真っ先に思い付くタブレット活用方法は、「調べ学習」ではないでしょうか。 確かに、アプリをインストールするなど準備の必要がないので、手軽に授業の中に取り入れやすいですよね。 ですが、授業の中で「調べ学習」を行う際には、注意しなければならないことがあります。 そこで、この記事では、音楽授業におけ ...
ReadMore
授業の基本
2022/8/2
音楽教員の必需品!授業に役立つアイテム5選
元音楽教員めりーです。 この記事では、私の音楽教員生活の中で、「これは無くてはならない!」と思った授業アイテムを5つ厳選してご紹介します。 \教員生活全般で必要な持ち物はこちら/ 音楽授業に役立つアイテム5選 ①タイマー 授業中の活動時間を区切るためにタイマーは必須。 生徒の様子を見て「そろそろ終わりにしよう」なんて声をかけることもありますが、「活動時間はあと○○分」と明示している方が分かりやすく、生徒も活動に集中しやすくなります。 おすすめは、大きな表示で見やすく、黒板に貼れるマグネットタイプのものです ...
ReadMore
鑑賞授業
2022/7/5
「二枚目」も「修羅場」も!日常的に使われる、歌舞伎由来の言葉
元中学校音楽教師のめりーです。歌舞伎が由来とされている言葉をご紹介します。 \歌舞伎について詳しく知りたい方はこちら/ 一見、私たちの生活とはかけ離れているように感じる、歌舞伎。 ですが、普段当たり前のように使っている言葉には、歌舞伎を由来とするものが多くあります。 そこで、この記事では、そんな歌舞伎由来の言葉から特に馴染み深いものを厳選してご紹介します。 板に付く 「板に付く」とは、経験を積んで、動作や態度が地位・職業などに合うようになること。 元々は、 板=舞台 付く=しっくり合う という意味で、経験 ...
ReadMore
鑑賞授業
2022/8/2
実は恋の歌!?モーツァルト作曲「きらきら星変奏曲」を解説!
元音楽教師めりーです。今回は、あの有名な「きらきら星」について解説します。 「きらきら星変奏曲」という名で知られる、こちらの音楽。 モーツァルトが作曲したことでも有名ですが、実はこの曲は、ある音楽の旋律を引用して作られたもので、原曲は他にあるのです。 では、その原曲とはいったいどのような音楽なのでしょうか? というわけで、この記事では、そんな「きらきら星変奏曲」の原曲やその他のアレンジ、演奏・鑑賞時のポイントをまとめてみました。 目次原曲は恋の歌!「きらきら星変奏曲」の正式名称は?→変奏曲とは?原曲『ああ ...
ReadMore
ゲーム・クイズ
2022/8/2
音楽授業のスキマ時間におすすめのミニゲーム「ドレミでクラップ」
元音楽教師めりーです。この記事では音楽授業におすすめのミニゲームをご紹介します。 ほんの少しだけ授業時間が余ってしまった… どんよりした授業の雰囲気を変えたい… そんな時に私が取り入れていたのが、ミニゲーム「ドレミでクラップ」! 所要時間は1~3分ほどで、サクッと授業の雰囲気を和らげることのできる活動です。 やり方は非常に簡単で、何の準備もいらないので、授業で困ったその瞬間に取り入れることができますよ。 それでは「ドレミでクラップ」の進め方をご紹介します。 ミニゲーム「ドレミでクラップ」の進め方 ①生徒そ ...
ReadMore
常時活動
2022/6/29
世界の民族音楽を楽しく鑑賞!おすすめの常時活動「ミュージックトラベル」
元中学校音楽教師のめりーです。民族音楽の授業にお悩みの先生方に提案があります。 世界の諸民族音楽について、 ・数種類の音楽を鑑賞し、教師による説明を聞いて、感想を書く ・ホーミーやケチャなどの民族音楽をみんなで体験する という活動を軸に、1~2時間扱いの授業を行う先生が多いと思います。 ですが、1時間の中で数種類の音楽を立て続けに聴くと生徒は途中で飽きてしまいがち。 それに乗り気でない生徒に無理に活動を強要すれば、かえって音楽へのマイナスイメージは強まってしまいます。 そこで、私が提案したいのは、民族音楽 ...
ReadMore
歌唱授業
2022/8/2
「早春賦」歌詞の意味や作曲背景などポイント総まとめ!
元中学校音楽教師のめりーです。過去の授業経験を基に「早春賦」のポイントをご紹介します。 春を待ちわびている人々の思いや朗らかな風景を表現した日本の名曲「早春賦」。 教科書にも掲載されているので、今まさに授業準備をしている、あるいはテスト勉強中という方も多いと思います。 そこで、この記事では、「早春賦」の歌詞の意味や作曲背景など学習する際に役立つポイントをご紹介します。 学生の皆さんはもちろん、これから授業を行う先生方のお役に立てれば幸いです。 目次「早春賦」のポイント1.そもそも「早春賦」ってどういう意味 ...
ReadMore
鑑賞授業
2022/5/18
音楽授業で見せたいミュージカル映画のおすすめシーン
元中学校音楽教師めりーです。 音楽の授業でミュージカル映画を扱う際の難点は上映時間の長さ。 説明や振り返りなどの時間を考慮すると、鑑賞に使える時間は30分~40分くらいが妥当です。 ですが、「どの場面を見せるべきか分からないし、研究する時間もない!」とお困りの先生も多いはず。 そこで、この記事では、音楽授業におすすめのミュージカル映画と、各作品のおすすめシーンをご紹介します。 音楽授業におすすめのミュージカル映画 ①サウンドオブミュージック リンク ミュージカル作品と言えば「サウンド・オブ・ミュージック」 ...
ReadMore