教育実習や研究授業など、なにかと書く機会の多い指導案。
「何を書けばいいの?」「どのように作成すべき?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
そこで、この記事では、私の経験を基に指導案の書き方や作成手順をご紹介します。
校種や地域によって異なる点はあると思いますが、少しでも参考にしていただければ幸いです。
目次
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指導案の様式例
※勤務する自治体や学校、校種、教科等によって形式は異なりますので、ここで紹介するのはあくまで例です。
指導案は、題材全体に関わる部分と、本時(実際に授業を行う1時間)に関わる部分に分かれています。
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用紙のサイズは通常A4で、明朝体もしくはゴシック体で記載するのが一般的かなと思います。(私は見出しをゴシック体、本文を明朝体に設定していました。)
指導案の書き方とポイント
前項で紹介した様式の場合、記載する項目は以下の通りです。
1 単元(題材)名
2 単元(題材)の目標
3 単元(題材)の評価規準
4 指導観
5 年間指導計画における位置付け
6 単元(題材)の指導計画と評価計画
7 指導に当たって
8 本時
それでは、項目ごとに書き方とポイントをご説明します。
0 授業の実施について
教科名・日時・対象生徒(学校・学年・学級・人数)・授業者を記載します。
実施場所(○年○組教室や第1理科室など)もを記載する場合もあります。
1 単元(題材)名
その授業が含まれる単元(題材)名を記載します。
例えば「作曲者の思いを感じ取り、音楽のよさや美しさを味わおう」のように、生徒にとって分かりやすい単元(題材)名とするのがポイントです。
2 単元(題材)の目標
単元(題材)全体を通して、生徒にどのような力を身に付けさせたいのかを記載します。
学習指導要領を参考に、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に取り組む態度」の3観点全てについて盛り込むのが理想的です。
3 単元(題材)の評価規準
目標=評価規準ですので、「2.単元(題材)の目標」と内容自体は同じです。
4 指導観
本単元(題材)を扱う理由を「単元(題材)観」「教材観」「生徒観」の3つの項目に分けて記載します。
各項目については、具体的な根拠を明確に説明するのがポイントです。
(1)単元(題材)観
単元(題材)目標をより詳しく記載するようなイメージです。
・なぜこの単元を扱うのか
・本単元を通して、生徒はどのような力を身に付けることができるのか
について、学習指導要領を根拠に説明します。
(2)教材観
この教材を扱うことが、単元(題材)目標にどうつながるのかということを具体的な根拠を基に説明します。
例えば、「音楽のよさや美しさを味わう」ためなら教材は「ボレロ」でも「魔王」でも何でもいいはず。
授業者がそこで「ボレロ」を選んだ理由を明確にすることが大切です。
(3)生徒観
この項目に記載するのは、
・個人や集団としての学習意欲
・既習事項の理解度
・予想される本単元の様子
・教科の基本的な知識・技能の習得状況
が一般的です。
「○組の生徒は行事に一生懸命」のような、授業に関係ないことは記載しません。
5 年間指導計画における位置付け
本単元(題材)が各学年の年間指導計画のどこの位置付いているかを簡潔に説明します。
書き方は教科や授業者によって様々ですが、単元の場合は1年間分の単元名と目標(学習内容)を表形式に記載、題材の場合は、関わりの深い題材のみを抜き出して記載することが多い気がします。
6 単元(題材)の指導計画と評価計画
単元(題材)を通して「何がしたいのか」を簡潔に記載します。
各時間の目標や学習内容と、単元(題材)全体との結びつき、本時の授業と前後の授業とのつながりを意識して書くのがポイントです。
7 指導に当たって
本単元(題材)において特に工夫する点を記載します。
どのような視点で、あるいはどのような観点に基づいて、何を工夫するのかを具体的に書くのがポイントです。
いくつか例を挙げておきます。
視点や観点
・知識・技能を身に付けさせるため
・主体的に取り組めるようにするため
・思いをもって表現させるため etc...
工夫すること
・ワークシート
・板書
・班編成
・使用する資料
・学習活動 etc...
8 本時
1時間の授業をどのような流れで行うかを具体的に記載するため、指導案の中でもこの部分が最も重要と言っても過言ではありません。
項目は「本時の目標」「本時の展開」「板書計画」の3つが一般的です。
(1)本時の目標
本時の目標は主発問や評価規準に直結するもので、目標が明確でなければ授業はうまくいきません。
学習指導要領や生徒の実態、題材目標を基に、明確な目標を設定するようにします。
(2)本時の展開
この指導案を見た誰もが同じように授業を進められるのが最も理想的な形です。
そのために、本時の展開は、実際の授業を想像しながら、可能な限り具体的かつ分かりやすく記載する必要があります。
(3)板書計画
実際の授業を想定して作成しますが、実技教科など板書を必要としない授業の場合、記載しないこともあります。
指導案の作成手順
さて、前項で指導案の書き方とポイントをご説明しましたが、全項目を一度に記入することは到底不可能です。
と言っても、何から書けば良いか分からない方も多いと思いますので、ここからは指導案作成の手順(私の場合)をご紹介します。
step
1単元(題材)を決める
まずは教育実習や研究授業で扱う単元(題材)を決めます。
授業を行う時期や学年も関係してきますが、なるべく自分のやりやすい箇所を選ぶのがポイントです。
単元が決まれば、指導案の「0 授業の実施について」「1 単元(題材)名」「5 年間指導計画における位置付け」を埋めることができます。
step
2学習指導要領の該当箇所を読む
単元(題材)を決めた後は、学習指導要領の該当箇所を確認します。
step
3題材目標と評価基準を決める
学習指導要領を参考にしながら、題材目標と評価基準を決めます。
とは言うものの、年間指導計画に記載していることがほとんどなので、そちらを確認しながら、指導案の「2 単元(題材)の目標」「3 単元(題材)の評価規準」を記載します。
step
4使用する教材・教具を決め、教材研究を行う
教材・教具について研究や準備を進めつつ、指導案の「4 単元(題材)観」を記載します。
教具を工夫するのであれば「7 指導に当たって」も記載できます。
step
5単元(題材)計画・本時案を作成する
少し大変ですが、単元(題材)計画と本時案は同時進行で作成するのがおすすめです。
どんなに本時が工夫を凝らした授業だったとしても、前後の授業とのつながりが感じられなければ、生徒の学びは深まりません。
単元(題材)全体の流れを意識した授業が行えるよう、「6 単元(題材)の指導計画と評価計画」「8 本時」は互いを行き来しながら記載していきます。
step
6模擬授業を行う
ここまでで一通り指導案は作成し終えるので、研究授業前に一度模擬授業やイメージトレーニングを行い、指導案を修正します。
可能なら指導教員や同僚に模擬授業もしくは指導案を見てもらい、アドバイスしてもらうと良いです。
指導案作成のタイムリミット
前項で説明した通り、指導案は段階を踏みながら作成し、自分が納得いくまで修正を繰り返して完成させていくものです。
ですが、指導案作成にもタイムリミットはあります。
教育実習ならだいたい3日前、研究授業なら2週間前には指導案が完成しているのがベストかなと思います。
指導案作成には多くの時間を要するので、なるべく早いうちから、教材研究等の準備を行うのが理想的ですね。
まとめ
さて、この記事では指導案の書き方や作成手順をご紹介しました。
校種や地域によって異なる点があるとは思いますが、少しでも参考になっていれば幸いです。
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