※当サイトは広告及びアフィリエイトプログラムにより収益を得ています

鑑賞授業

文楽とは?元中学校音楽教員のざっくり解説と授業例紹介

元中学校音楽教員めりーです。

この記事では、私が授業で説明していたこと等を基に、文楽についてざっくり解説し、簡単な授業例をご紹介します。

説明内容も授業例も「私だったらこうするよ」という内容ですが、少しでも参考になれば幸いです。

文楽についてまとめたプリントは以下のnote(有料)で紹介しています。

文楽とは?

文楽とは、音楽とセリフを語る「浄瑠璃」と「人形劇」が合わさってできた芸術のひとつで、17世紀末の大阪で大成された人形浄瑠璃の一種です。

私は恥ずかしながら勘違いしていたのですが、文楽=人形浄瑠璃ではありません。

人形浄瑠璃にはいくつか種類があり、文楽はそのうちの一つということは授業でしっかり説明してあげると良いと思います。

私と同じように勘違いしている生徒がいるかもしれないので…

授業でおさえたい、文楽の特徴

ここからは、文楽を授業で扱う際に最低限おさえておきたい事項をピックアップしてご紹介します。

・三業一体(さんぎょういったい)

文楽は、人形遣い太夫三味線奏者の三者によって上演されます。

この三者でひとつの作品を作り上げることを文楽の世界では「三業一体(さんぎょういったい)」と言います。

人形・語り・三味線という異なるジャンルの三者が、舞台上で互いの魅力を引き出しつつ、調和することで新たな魅力を生み出しているのです。

それぞれの役割について、もう少し詳しくご説明します。

人形遣い

主遣い左遣い足遣いの3人で1体の人形を遣い、このことを「三人遣い」と言います。

それぞれが人形のどの部分を担当しているかは以下の通りです。

  • 主遣い
  • 人形の頭と右手を操作する(足遣いが楽に作業できるよう、高い下駄を履いている)

  • 左遣い
  • 人形の左手を操作する

  • 足遣い
  • 人形の足を操作する

この3人が息を合わせて1体の人形を操作しているので、より人間らしい(人間以上の)動きや表情を醸し出すことができるのだと思います。

普段は、黒衣を着ているので、人形遣いは観客には見えないという約束ですが、重要な場面などでは顔を出して演じることもあるようです。

太夫(たゆう)

文楽では「太夫(たゆう)」が、あらすじ登場人物のセリフ心情情景描写などを語ることで、物語が進行します。

人形は当然セリフを発することができませんし、人形遣いが人形を動かしながら話しているわけではないので…(たまに掛け声が出ることはあるようですが)

太夫の魅力は、独特な節回しリズム抑揚のある表現力、そして何よりしっかりとした発声です。

そうした太夫の特徴に着目する授業も面白そうだと思います。(例えば「太夫の魅力の秘密を探ろう!」「太夫のワザに挑戦しよう!」など)

三味線奏者

太夫の熱い語りに合わせるため、文楽では「太棹」と呼ばれる、低音で重厚な響きが特徴の三味線を用います。

三味線は太夫の伴奏ではなく太夫と対等な関係なので、太夫が演奏をリードすることもあれば、三味線奏者がリードすることもあるようです。

・義太夫節(ぎだゆうぶし)

前項で出てきた太夫三味線奏者が息を合わせて演奏する音楽のことを「義太夫節(ぎだゆうぶし)」と言います。

17世紀後半に竹本義太夫が始めたことから、その名が付けられました。

歌舞伎音楽の「義太夫節」と同じです。

・特殊な舞台

人形の動きを効果的に見せるよう他の芸術とは全く異なる舞台のつくりになっているのも文楽の特徴のひとつです。

人形の位置を観客の目線と平行にするために「船底」と呼ばれる舞台上の低い場所で人形遣いが人形を操作するなど、文楽を上演する舞台には様々な工夫が施されています。

文楽の授業例

さて、文楽についてざっくりご説明しましたが、ここからは文楽を題材とする場合の授業例2パターンを簡単にご紹介します。

あくまで「こんな授業はいかがでしょうか?」という提案ですので、参考程度に読んでいただければ幸いです。

①三味線の音色に焦点を当てた授業

音楽の授業なので、やはり文楽の音楽的要素に焦点を当てるのが良いのでは?と思います。

そこで提案したいのが、三味線の音色を聴き比べる活動です。

文楽では三味線の音色が物語の情景や登場人物の心情を表しているので、様々な三味線の音色を聴き比べ、それがどのような場面を表しているかを想像するという活動はいかがでしょうか。

2時間扱いで、1時間目に文楽についての概要説明、2時間目に様々な演目の比較鑑賞といったイメージです。

教材集め(CDやDVDの購入)が大変ですが、様々な演目の比較鑑賞は面白そうだなと思い、このような授業例を考えてみました。

②能、歌舞伎との比較授業

同じ伝統芸能である歌舞伎とは互いに影響を受け合いながら発展してきたので、比較鑑賞を通して文楽の特徴や魅力を探る授業も良さそうです。

例えば、4時間扱いで、1時間目~3時間目は各芸能を様々な観点で比較し、4時間目にいずれかの芸能についてまとめるという流れはいかがでしょうか?

比較鑑賞がメインなので広く浅くの内容になってしまいますが、伝統芸能に興味をもってもらうことにはつながりそうです。

実は、この授業例はnote(有料)で公開しているので、ご興味がある方はご覧いただければと思います。

指導略案とワークシートもダウンロードできます。

まとめ

さて、文楽の簡単な解説と授業例は以上です。

かなりざっくりとした内容にはなってしまいましたが、少しでもお役に立てていれば幸いです。

\各教材の進め方や活動例はこちら/

note「めりー先生の音楽室」へ

音楽の授業に役立ちそうなもの等を紹介しています!
↓ ↓ ↓

授業ネタ

2024/7/30

お蔵入りにした音楽授業アイディア(私が教員時代にやってみたかったこと)

元中学校音楽教員めりーです。 私には、教員時代に思い付いたものの出来なかった授業や、教員を辞めてからふと思い付いた授業アイディアがいくつかあります。 今はもう教員を辞めてしまい実践は不可能ですが、このアイディアが先生方のお役に立てるのでは?と思い、ブログに書き留めることにしました。 学習指導要領や教科書、年間指導計画などは抜きにして、単純に「こんな音楽の授業をやってみたかった!」という内容ですので、参考にされる際には自己責任でお願いします。 目次私がやってみたかった授業アイディア・絵に合う音楽を選んでディ ...

ReadMore

授業の基本

2024/7/30

音楽授業の必要性について。元教員が考える「学校で音楽を学ぶ理由」

元中学校音楽教員めりーです。 時折耳にする「音楽の授業はいらない」という意見…元音楽教員としては少し複雑な気持ちになります。 というわけで、今回は永遠のテーマとも言える「なぜ学校で音楽を学ぶのか」について私なりの思いをまとめてみます。 一個人の意見ではありますが、音楽の先生方は、生徒から「どうして音楽の授業が必要なの?」と聞かれることもあると思うので、そんなときの受け答えのヒントとしていただければ幸いです。 目次将来役に立ててほしいから音楽の授業があるわけではない私が思う「学校で音楽を学ぶ理由」①様々な音 ...

ReadMore

鑑賞授業

2024/7/24

オペレッタとは?オペラとの違いや有名な曲も合わせて解説

元中学校音楽教員めりーです。 この記事では、オペレッタとは何かについて、オペラとの違いやそれぞれの代表曲と合わせて解説します。 音楽を勉強中の方や、授業での説明にお悩みの先生方の参考になれば幸いです。 目次オペラとは?オペレッタとは?オペレッタとオペラの違いは?オペレッタの有名な曲2選①「こうもり」序曲①「天国と地獄」序曲まとめ オペレッタについて説明する前に、まずはオペラについてです。 オペラとは? オペラは歌を中心に物語が進む歌劇のことです。 演劇と同じように、華やかな衣装に身を包んだ出演者が舞台上で ...

ReadMore

自習課題

2024/7/24

noteで公開中の自習プリント(中学音楽)を紹介します!

元中学校音楽教員めりーです。 急に音楽の授業が行えなくなった場合に役立つ自習プリント。 「いざという時のために用意しておきたいけど、忙しくて作る暇がない」という先生も多いのではないでしょうか? そこで、この記事では、noteで公開中の授業資料から、すぐに使える音楽の自習プリントをご紹介します。 いずれも有料にはなりますが、一度購入していただければ長く使えるので、お役立ていただければ幸いです。 目次まずはこれ!音楽の自習プリント音楽記号・用語一覧プリント練習問題付き!楽典まとめプリントお楽しみ課題!クロスワ ...

ReadMore

歌唱授業

2024/7/24

音楽授業における歌唱指導の方法・音取りのポイント

元中学校音楽教員めりーです。 音楽の授業で必ず行う歌唱指導。 にもかかわらず、どのような流れで進めるのか、どのように音取りを行うのかといった具体的な指導法は誰も教えてくれないですよね。 そこで、この記事では私の歌唱指導の方法をご紹介します。 あくまで私の進め方であり、「これが正解!」というわけではありませんが、少しでも皆さんの参考になれば幸いです。 目次歌唱指導って何するの?歌唱指導(音取り)の基本的な流れ1時間目の流れ2時間目以降の流れ歌唱指導(音取り)のコツコツ①常に全員でなくても良いコツ②表現の工夫 ...

ReadMore

授業の基本

2024/7/24

【中学音楽】年間指導計画作成のポイントと1年間の授業計画例

元中学校音楽教員めりーです。 この記事では、年間指導計画作成のポイントと、1年間の授業計画(例)をご紹介します。 あくまで私が勤務していた頃の話にはなってしまいますが、参考にしていただければ幸いです。 目次年間指導計画作成のポイント①年間の授業時数を意識する②学校行事を確認する③評価の時期から逆算する1年間の授業計画例中学1年音楽 授業計画例中学2年音楽 授業計画例中学3年音楽 授業計画例(補足1)各題材で扱う教材について(補足2)実技テストについてまとめ 年間指導計画作成のポイント まずは、私が年間指導 ...

ReadMore

授業ネタ

2024/7/24

盛り上がる!音楽授業におすすめのゲーム「歌詞ビンゴ」

元中学校音楽教員めりーです。 音楽授業に取り入れると盛り上がりそうな、簡単なゲーム活動例を思い付いたので、ご紹介します。 その名も「歌詞ビンゴ」です。 授業のスキマ時間やお楽しみ会などに取り入れられるのでは?と思うので、参考にしていただければ幸いです。 目次歌詞ビンゴとは?歌詞ビンゴの進め方①ビンゴカードの作成・配布②曲を流してビンゴ大会!まとめ 歌詞ビンゴとは? 歌詞ビンゴは、その名の通り歌の歌詞を活用したビンゴゲームです。 所要時間は10分~30分で、準備もそんなに必要ないので、「少し時間が余りそうだ ...

ReadMore

鑑賞授業

2024/7/24

歌舞伎「勧進帳」のあらすじを元中学校音楽教員がざっくり解説

元中学校音楽教員めりーです。 この記事では、歌舞伎の有名な演目「勧進帳」のあらすじを簡単にご紹介します。 音楽を勉強中の方や、授業準備中の先生方の参考になれば幸いです。 目次「勧進帳」基本情報「勧進帳」主な登場人物(相関図)「勧進帳」あらすじ解説①役者の登場②勧進帳の読み上げ③山伏問答④弁慶の驚くべき作戦⑤主従の絆の深さ⑥延年の舞⑦役者の退場(飛び六方)まとめ 「勧進帳」を主教材とした鑑賞授業の進め方やワークシートは以下のnote(有料)で紹介しています。 「勧進帳」基本情報 作詞者:三世並木五瓶 作曲者 ...

ReadMore

-鑑賞授業
-,

© 2024 めりー先生の音楽準備室