元音楽教師めりーです。ICT活用の定番「調べ学習」についてお話しします。
GIGAスクール構想により、ICTを活用した授業が求められる今、音楽の授業でどのように活用すべきか悩んでいる先生方は多いと思います。
そんな中、真っ先に思い付くタブレット活用方法は、「調べ学習」ではないでしょうか。
確かに、アプリをインストールするなど準備の必要がないので、手軽に授業の中に取り入れやすいですよね。
ですが、授業の中で「調べ学習」を行う際には、注意しなければならないことがあります。
そこで、この記事では、音楽授業における「調べ学習」のポイントをまとめ、それに基づいたおすすめのテーマを例としてご紹介します。
「調べ学習」のポイント
①「調べ学習」は手段の一つ!
「調べ学習」を授業に取り入れる上で最も大切なことは、
ということです。
研究授業などで、ICTを活用したいあまり、「調べ学習」をすること自体が目的になっている授業をたまにお見かけします。
ですが、「調べ学習」は学習目標を達成するための一つの手段です。
「教師による説明」や「グループでの話し合い」のような活動と同等であることを忘れてはいけません。
ゆえに、「調べ学習」を授業に取り入れる際には、何のために行うのか、本当に必要なのか、他の活動ではダメなのかという点をじっくり考えることが大切です。
②「調べたい」と思わせるが勝ち!
授業は、教師による念入りな計画のもと行われるものです。
ですが、それを生徒に気付かせず、自分たちが授業の展開を決めているかのように感じさせる授業が良い授業だと私は思っています。
それは「調べ学習」の場合も同じで、「○○について調べよう」と教師が導くのではなく、「○○について調べてみたい!」と生徒に思わせる展開が理想的。
そのために、例えば、
- ベートーヴェン以降の作曲家がカツラを被っていないのは何故?
- 有名な音楽家が男性ばかりなのは何故?
のように、生徒が「調べたい!」と思えるような課題を提示することが大切です。
上記の発問の方が、「音楽史について調べなさい」と言われるより、ずっと興味がわきますよね。
③調べてからが勝負!
「調べ学習」によって、生徒は様々な情報を得るわけですが、たいていの生徒は調べたことに満足し、理解するには至っていないことが多いです。
例えば、「滝廉太郎は明治時代の人」という情報を得たとしても、それだけでは何の意味もありません。
明治時代はどのような時代で、その頃の日本の音楽はどうだったのか、そんな中、滝廉太郎は何を思い、何を成し遂げようとしたのかということまで考えてこそ、「調べ学習」の意味があるわけです。
つまり、「調べ学習」のゴールは「得た情報」ではなく、「得た情報を読み解き、理解したこと」であり、生徒がそこまでたどり着くように、発問やワークシート等の手立てを工夫する必要があります。
「調べ学習」のテーマ例
前項のポイントを踏まえ、私ならどのようなテーマで「調べ学習」を授業に取り入れるか考えてみました。
例として載せておきますので、よければ参考にしてみてくださいね。
例1 滝廉太郎になりきって演奏のアドバイスをしよう
歌唱曲「花」や「荒城の月」なの学習時に取り入れます。グループ内でお互いの歌を聴き、アドバイスをするという学習活動です。
滝廉太郎になりきるには、彼がどのような人物で、楽曲に対してどのような思いをもっていたのかを知る必要があり、そのために滝廉太郎についての「調べ学習」が必要となります。
もちろん滝廉太郎に限らず、山田耕筰(「赤とんぼ」)や宮城道雄(「春の海」)など他の作曲家でもOKです。
例2 楽器のルーツを探ろう
例えばホルンという楽器は、元々「角笛」(動物の角で作った笛)だと言われています。
ゆえに、「ブルタバ」(スメタナ作曲)の中では、「森の狩猟」を表す場面で用いられるなど、楽器の起源を生かした使われ方をすることがあります。
同様に、他の楽器にも起源となる楽器や出来事があるはずで、それらを調べることによって楽器の特性を理解し、音楽の中でどのような役割を担っているかを考えることができます。
まとめ
さて、今回は「調べ学習」のポイントとテーマ例をご紹介しました。
とても大切なことなので、もう一度記しますが、「調べ学習」は目的ではなく手段です。
「調べ学習」をすることにとらわれすぎて、授業の目標を見失うことのないよう、お気を付けくださいね。
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