授業は「予定通りの活動をこなすもの」ではなく「目標達成のプロセス」です。
ゆえに、例えば歌唱授業なら、よりよい表現の工夫を目指して時間いっぱい試行錯誤を重ねるべきなので、「時間が余る」ということはあり得ません。
ですが、日々の授業の中で、ちょうどキリ良く終わりチャイムが鳴るまであと2~3分!ということはありますよね。
この記事では、そのような状況を「時間が余る」と表現し、その場合におすすめの活動(私の対処法)をご紹介します。
時間が余ってもやってはいけないこと
おすすめの活動をご紹介する前に、どんなに時間が中途半端に余ったとしてもやってはいけないことを念のため書いておきます。
・音楽室から退出させる
時間が余ったときに「授業が早く終わったから教室に戻って次の授業の準備をしなさい」という指示を出すのはNGです。
当たり前のことですが、授業時間は小学校なら45分、中学校・高校は50分と決まっているからです。
それに、音楽室から教室に戻る間、生徒たちは私語をするでしょうし、他のクラスが授業中なのに、廊下からおしゃべりが聞こえてきたら迷惑です。
ゆえに、いくら授業が早く終わっても、チャイムが鳴るまで音楽室から退出させないのは基本です。
・他教科の自習をさせる
授業が早く終わり、生徒から「次の時間に漢字テストがあるので勉強してもいいですか?」と聞かれたら何と答えますか?
私だったら「だめです」と即答します。(なぜなら音楽の授業中だからです。)
各教科の授業時間には、その教科に関わることをすべきなので、時間が余ったとしても、他教科の自習はさせません。
時間が余った時におすすめの活動
・授業の延長線上にある活動
まずは授業の活動を延長させる方法です。
これからご紹介する活動であれば、そもそも「時間が余っている」ことに気付かれにくいです。
とりあえず歌おう!
最も手っ取り早いのは、既習曲を歌う活動です。
事前準備もいらないので、言い方は悪いですが時間が余ったらとりあえず歌わせればいいや!と決めておけば少し心が軽くなるかもしれません。
歌い方を変えて大発見!
歌唱や合唱授業の際に時間が余りそうな時は、まとめに入る前にいつもとは違う歌い方をさせてみるのもおすすめです。
いくつか具体的な例とその効果を挙げてみます。
活動例 | 効果 |
別の言葉で歌う(母音や「ラララ」「ナナナ」等) | よい響きの確認になる。 |
強弱や速度、調を変えて歌う(全てフォルテ、倍の遅さで等) | 曲にふさわしい表現の工夫につながる。 |
ペアやグループでお互いの歌を聴き合う | 他者の歌を聴くことで自身の歌い方を見直せる。 |
2~3人ずつ歌う(出席番号や誕生月などランダムで) | 少人数で歌うことで自信をもって歌えるようになる。 |
教室全体に散らばって歌う | 自分の歌を客観的に評価できる。 |
上記のように、様々な歌い方をさせることは新たな気付きを生み出し、曲にふさわしい表現を工夫させることにつながります。
特に、教室全体に散らばって(両手を広げて誰にもぶつからない場所で)歌う活動は生徒からも好評だったのでおすすめです。
ワークシート交換
ワークシートに本時のまとめを書かせているなら、それを隣同士やランダムに交換させて、互いの意見を共有するのもひとつの手です。
次時の予告
ほんの少し時間が余るのなら次回の授業の予告で粘っても良いと思います。
次の授業が楽しみになるような導入がベストですが、先生による簡単な説明だけでも、楽曲を聴かせたり、映像を見せたりするだけでもOKです。
次時の予告なら、本時のまとめ後に行っても不思議ではないですし、時間調整もしやすいはずです。
・単発のゲームや活動
次に、単発のゲームや活動をご紹介します。
授業内容との関連性を考える必要はありますが、ちょっとした息抜きになるので、たまには取り入れても良いと思います。
リズム遊び
先生が叩くリズムを真似たり、簡単なリズム創作を行ったりと、遊びながらリズムに慣れる活動はスキマ時間にぴったりです。
ビンゴゲーム
教科書に音符や音楽記号を使うビンゴゲームが載っているので、そういったものを活用するのもアリです。
円でクラップ!
クラス全員で大きな円を作り、1人1回ずつ手拍子をします。
ポイントは速度を保つことで、遅くなったり速くなったりしたら最初からやり直し、最後の生徒まで回ったら終了です。
5分間ミュージック
私の記事を普段からご覧いただいている方にはおなじみの5分間ミュージックもおすすめです。
授業の始めに様々なジャンルの音楽を聴かせる常時活動ですが、毎回やらずとも、時間が余ったときにだけ取り入れても良いと思います。
毎回の授業が楽しみになる「5分間ミュージック」(音楽授業ネタ)
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音はいつ消えた?
先生がピアノの音を1つ鳴らし、音が消えたと思ったら手を下げさせる活動です。
集中力が試されますし、音が消えたと思った瞬間にばらつきがあり、意外と盛り上がります。
これは何の音?
生徒は目を閉じ、先生の発した音が何の音かを当てさせるゲームです。
かかとを鳴らす音や、紙をめくる音、カーテンを開く音など、身近なものがどのような音を発しているかに気付かせます。
発展させれば、身近な素材を使った音楽づくりという創作授業にもなりそうです。
まとめ
さて、この記事では、授業で時間が余ったときにやってはいけないことと、おすすめの活動(私の対処法)をご紹介しました。
ですが、記事の冒頭でも記載した通り、本来は授業で「時間が余る」ことはあり得ません。
自身が予定していた活動を無事にこなせたのかではなく、生徒が目標を達成できたかに意識を向けることが大切だと思います。
それでも時間が余った際には、ぜひ今回ご紹介した活動をお試しいただければ幸いです。
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