ハ長調やト短調など、音楽を勉強していると必ず出てくる長調と短調ですが、よく分からない!と困っている方も多いのではないでしょうか?
そこで、この記事では、
- 調とは何か
- 長調と短調の違い
- 長調と短調を見分ける方法
をざっくり解説します。
調とは?
調とは、ある曲がどんな音階で構成されているかを指すものです。
音階とは、西洋音楽で用いられる12個の音からいくつか選び、高さ順に並べたもののことを言います。(西洋音楽では12個の音から7個の音を選びます)
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音階とは?主音との関係やルールをざっくり解説
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そして、音階の中で基準となる音を主音、その音から始まる音階で構成されているものを調(長調や短調)と呼びます。
(例)主音が「ハ」の調は、ハ長調もしくはハ短調です。
「ハ」や「ニ」など音名については以下の記事で解説しているので、よければ合わせてご覧ください。
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音名と階名の違いは?意味や役割をざっくり解説
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長調と短調の違いとは?
ざっくり言うと、長調と短調では音階の並び方が違います。
長調の音階は全音→全音→半音→全音→全音→全音、短調の音階は全音→半音→全音→全音→半音→全音の順に並ぶというような決まりがあるのです。
※自然短音階の場合
この決まり通りに、12個の音から7個の音を抜き出すと、長調・短調それぞれの構成音(音楽で主に使用される音)が決まります。
音楽で使用される音が異なれば、曲の雰囲気も異なるので、俗に言う「長調は明るい」「短調は暗い」のような違いが出てくるわけです。
例として、ハ長調とハ短調の音階をご紹介します。
どちらも主音は「ハ」の音ですが、長調と短調では音階の並び方が違うので、抜き出す音も以下のように異なります。

主音(最初の音)から3番目の音までの距離を比べてみると、長調は鍵盤5個分、短調は鍵盤4個分です。
つまり、
主音(最初の音)から3番目の音までの距離が長い方が長調、短い方が短調
と言えます。
ハ長調とニ長調を比べてみよう
ハ長調は「ハ」の音から、ニ長調は「二」の音からそれぞれ全音→全音→半音→全音→全音→全音の順に並べてみると、以下のようになります。

決まり通りに並べてみると、ハ長調の音階は全て白鍵ですが、ニ長調の音階は3番目の音と7番目の音が黒鍵になります。
これは、ニ長調が「二 ホ 嬰へ ト イ ロ 嬰ハ」の7音で構成されていることを示しています。
したがって、楽譜を書く際には、この2音に♯(シャープ)を書かなければいけません。
でも、毎回書くなんて面倒くさい…
だったら楽譜の最初に書いちゃえばいいじゃない!
ということで、楽譜の最初に♯(シャープ)を2個書いて、「この曲は「ヘ」と「ハ」に♯(シャープ)を付けてね!」と示しているのが調号です。

最初に調号を書いておけば、毎回「ヘ」と「ハ」に#(シャープ)を書かなくても良いのです。
逆を言えば、楽譜の最初を見て、「ヘ」と「ハ」に♯(シャープ)が付いていれば、ニ長調の可能性があるということが分かります。
可能性と表現したのには訳があって、実は、ニ長調だけでなく、ロ短調にも♯(シャープ)が2つ付いているのです。
残念ながら、調号を見るだけでは、その曲が何調か分からないんですね。
というわけで、ここからは調の見分け方をご紹介します。
調の見分け方
調号を見れば、その曲が何調か2つまで絞ることができる!
曲の調を知りたい時は、まず楽譜の最初に記載されている調号を見ます。

この調号一覧は覚えるしかありません…(泣)
例えば、調号が何も付いていなければハ長調かイ短調、♯が1つならト長調かホ短調のように、調号を見ると、その曲が何調か2つまで絞ることができます。
ですが、2つまで絞ったものの、それが長調か短調かパッと見ただけでは分かりません。
したがって、長調か短調かを見分ける方法も知っておく必要があります。
長調か短調か判断するには?
①曲を聴いてみる
曲を聴いてなんとなく明るければ長調、暗ければ短調と判断します。
ですが、人の感じ方はそれぞれで、短調でもその曲を明るく感じる方もいるので、この方法は確実ではありません。
②曲の最後の音を確認する
ヘ長調の「Happy Birthday to You」は「ファ」で終わように、最後の音が主音となっている曲が多いです。
これは、主音で終われば曲に終息感を持たせることができるからです。
調号と主音さえ分かれば、何調かすぐに判断ができるので、これはかなり良い方法ですが、すべての曲が主音で終わるとは限らないので、少し注意が必要です。
③音階の並びを見る
曲中で使われている構成音を低い方から順番に並べてみて、全音→全音→半音→全音→全音→全音なら長調、全音→半音→全音→全音→半音→全音なら短調と判断します。
絶対にこれが確実かと言われるとそうでもない場合がありますが、この方法で判断すればほとんど間違うことはありません。
というわけで、改めて調の見分け方をまとめると、
Step1 まず調号を見る
Step2 上記3つの方法のいずれかで、長調か短調かを判断する
となります。(意外と大変です…)
まとめ
さて、この記事では調(長調と短調の違いや見分け方)をご紹介しました。
ざっくりとした内容でしたが、少しでもお役に立てていれば幸いです。
冒頭でもご紹介しましたが、上記の内容を基にプリントを作成したので、よければご活用ください。
楽典をよりしっかり学びたい方には、こちらの本がおすすめです。
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