突然ですが、こちらの音楽記号は何と読むでしょうか?
「エフエフエフ?」…残念ながら違います。
答えは「フォルティッシッシモ(フォルテフォルティッシモ)」です。
この記号は、強弱記号のひとつなのですが、その意味や他の強弱記号との関係がよく分からないという方も多いのではないでしょうか?
というわけで、今回は、強弱に関する記号・用語の読み方と意味をまとめてみました。
楽譜上でよく見かける記号・用語のみをピックアップして紹介するので、ざっくりとした説明にはなりますが、音楽を勉強中の方の参考になれば幸いです。
目次
そもそも音楽における「強弱」とは?
「強弱」は、音や音楽を形づくっている要素の一つで、ざっくり言うと、音量の大小やその変化のことです。
楽譜上では、どのくらいの強さで演奏してほしいかを指定するために、様々な強弱に関する記号や用語が使われます。
音の強弱を表す記号
まずは、一般的によく使われる「音の強さ・弱さ」を表す記号をご紹介します。
ポイント
「mezzo(メッゾ)」は「少し」という意味なので、
mezzo + piano = mezzo piano(少し弱く)
「issimo(イッシモ)」は「非常に」という意味なので、
piano + issimo = pianissimo(非常に弱く)
ちなみに、記事の冒頭で紹介した「fff(フォルティッシッシモ)」は「ffより強く」、「ppp(ピアニッシッシモ)」は「ppより弱く」という意味の記号です。
(実は、これらは頻繁に使われる記号ではないので、ここでは簡単な紹介だけにしておきます。)
・強弱記号は、いつまで有効?
強弱記号は、次の強弱記号が出てくるまで有効です。
例えば以下の楽譜では、水色部分を「p(ピアノ)」、ピンク部分を「f(フォルテ)」、黄色部分を「mf(メッゾフォルテ)」で演奏します。
実際の楽譜は、このように強弱ごとに色分けされていないので、「ここはどのくらいの強さで演奏すれば良いのだろう?」と迷った時は、直前に何の強弱記号が付いているのかをたどると良いです。
・「f(フォルテ)」ってどのくらいの強さ?
強弱記号は「このくらいの音量」という具体的な強さを示しているのではなく、その曲中での相対的な強さを表しています。
「これがf(フォルテ)だ」と思う強さは人によって違いますし、楽器や曲想によっても様々です。
※その他の強弱記号についても同じです。
ゆえに、演奏する際には、
- 楽譜全体を見て、どの強弱記号が付いているかを把握する
- 一番強い記号と弱い記号それぞれの、おおよその強さを決める
- その他の強弱記号の、おおよその強さを決める
というような流れで、全体の中での強さの度合いを考えるのがおすすめです。
・「p(ピアノ)」にも様々な種類がある
「p(ピアノ)」という強弱記号の意味は「弱く」ですが、その弱さにもいろいろな種類があると私は考えています。
例えば、「今にも壊れてしまいそうな弱さ」「中に芯のある弱さ」など…
同じ曲中に出てくる「p(ピアノ)」でも、その部分がどのような心情や情景を表しているかによって、その表現方法は異なる場合があります。
※その他の強弱記号についても同じです。
したがって、演奏する際には単に音量を変えるだけでなく、その記号に含まれる意味や背景まで考えられると良いと思います。
強弱の変化を表す記号・用語
次は、強弱の変化を表す記号・用語です。
一般的によく使われる記号・用語を種類ごとにご紹介します。
・「だんだん強く」を指示する
上記3つは、いずれも「クレシェンド」と読み、「だんだん強く」という意味の記号・用語です。
いずれも、ざっくりとした意味は同じですが、そのニュアンスは微妙に異なるようで、作曲者によってはこれらの記号を使い分けていることもあるようです。
「だんだん強く」ってどのくらい?
「クレシェンド」の範囲(どのくらいの時間をかけて強くしていくのか)や加減(どのくらい強くするか)は、その時々によって違います。
例えば、以下は、どちらも同じ「クレシェンド」ですが、その範囲や加減は異なります。
①は「p」という強弱の中で膨らませるイメージで、②は「pp」から「ff」になるように段階的に強くしていくイメージです。
このように、前後の強弱記号や旋律との関係から、「クレシェンド」の範囲や加減はある程度把握できるので、演奏時にはそこにも注目すると良いと思います。
・「だんだん弱く」を指示する
上記3つは、いずれも「デクレシェンド」と読み、「だんだん弱く」という意味の記号・用語です。
見た目からも想像がつく通り、「クレシェンド」の対になる言葉です。
同じく「だんだん弱く」という意味で「dim.(ディミヌエンド)」が楽譜に書かれていることもあります。
「デクレシェンド」と「ディミヌエンド」は、どちらも「だんだん弱く」という意味で使われますが、言葉本来の意味やそこに含まれるニュアンスは少し異なるため、作曲者によっては使い分けることがあるようです。
・これまでの強さと比較して指示する
これまでの強さと比較する場合は、「più(より多く)」、「meno(より少なく)」という言葉を用いて表すことがあります。
例えば、「più f」は直訳すると「強さをより多く」となるので、「fより強く」という意味で使われます。
逆に「meno p」は「弱さをより少なく」となるので、「pより強く」という意味になります。
・瞬時に強弱を変化させる
強く演奏した後すぐに弱くしてほしい場合は、「fp(フォルテピアノ)」という記号を用いることがあります。
また、「subito(急に、突然に)」という用語を用いて、以下のように指示することもあります。
- subito p(スビト ピアノ):すぐに弱く
- subito f(スビト フォルテ):すぐに強く
・特定の音の強さを変化させる
曲の中で特定の音だけを強く演奏してほしい時には「sforzando(スフォルツァンド)」や「rinforzando(リンフォルツァンド)」などの記号が用いられます。
これらは「その前後よりも強く」という意味で使われるので、以下のような場合、3番目の音は「f」よりも強く演奏します。
※上記は一例です。「sforzando」や「rinforzando」にはいろいろな表記方法があります。
・速度の変化も同時に表す
強弱の変化と同時に速度の変化も合わせて指示する用語もあるので、少しご紹介します。
- smorzando(スモルツァンド):消えるように/だんだん弱くしながら遅く
- calando(カランド):次第におだやかに/だんだん弱くしながら遅く
- allargando(アッラルガンド):次第に幅広く/だんだん遅くしながら強く
強弱記号・用語と一緒に使われる用語
最後に、強弱記号・用語と合わせて使用されることのある用語を少しご紹介します。
- poco(ポコ):少し
- poco a poco(ポコ ア ポコ):少しずつ
- molto(モルト):非常に
(例)「poco cresc.(少し、だんだん強く)」など
(例)「poco a poco cresc.(少しずつ、だんだん強く)」など
(例)「molto cresc.(非常に、だんだん強く)」など
強弱に関する記号・用語一覧【まとめ】
改めて、今回ご紹介した記号や用語を一覧にまとめてみます。
記号・用語 | 読み方 | 意味 |
ppp | ピアニッシッシモ(ピアノピアニッシモ) | ppより弱く |
pp | ピアニッシモ | 非常に弱く |
p | ピアノ | 弱く |
mp | メッゾピアノ | やや弱く |
mf | メッゾフォルテ | やや強く |
f | フォルテ | 強く |
ff | フォルティッシモ | 非常に強く |
fff | フォルティッシッシモ(フォルテフォルティッシモ) | ffより強く |
cresc. | クレシェンド | だんだん強く |
decresc. | デクレシェンド | だんだん弱く |
dim. | ディミヌエンド | だんだん弱く |
più f | ピウ フォルテ | fより強く |
meno p | メノ ピアノ | pより強く |
fp | フォルテピアノ | 強くしてすぐに弱く |
subito p | スビト ピアノ | すぐに弱く |
subito f | スビト フォルテ | すぐに強く |
sforzando(sf、sfz) | スフォルツァンド | その音を特に強く |
rinforzando(rf、rfz) | リンフォルツァンド | その音を特に強く |
smorzando | スモルツァンド | だんだん弱くしながら遅く |
calando | カランド | だんだん弱くしながら遅く |
allargando | アッラルガンド | だんだん遅くしながら強く |
poco cresc. | ポコ クレシェンド | 少し、だんだん強く |
poco a poco cresc. | ポコ ア ポコ クレシェンド | 少しずつ、だんだん強く |
molto cresc. | モルト クレシェンド | 非常に、だんだん強く |
さて、この記事では強弱に関する記号や用語をざっくりとご紹介しました。
紹介しきれなかった記号や用語もまだまだありますが、少しでも参考になっていれば幸いです。
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