音楽を学んでいると、楽典という言葉を度々目にすると思いますが、そもそも楽典とはいったい何のことでしょうか?
今回は、そんな楽典について簡単にご説明するとともに、「最低限これだけは知っておくと役立つよ!」という基礎的な項目をご紹介します。
楽典とは?
楽典とは、音楽の基礎的な理論のことで、演奏に役立つ記号や用語、楽譜を読んだり書いたりするときのルールなどの総称です。
英語で「musical grammar」と言うように、「音楽の文法」といった意味合いがあります。
楽典を学ぶことで音楽の基本的な仕組みが分かり、楽譜からより多くの情報を読み取ることができるようになるため、音楽を学ぶ上で欠かせない知識だと言えます。
ここからは、楽典の中で「最低限これだけは知っておくと役立つよ!」という内容を簡単に説明していきます。より詳しい解説をご覧になりたい方は、各項目の下部にある「▶詳しい解説記事はこちら」と書かれたリンクから該当記事をご覧ください。
知っておくと役立つ、楽典の基礎項目
①楽譜・五線譜
楽譜とは、音楽を音符や休符、記号などで書き表したもののことです。
ピアノ演奏や合唱の際には、五線譜と呼ばれる五本一組の平行線が書かれた楽譜がよく使われます。
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②音名・階名
音名は音そのものに付けられた名前のことで、日本では「ハニホヘトイロ」やドイツ語の「CDEFGAB」などで表します。
一方、階名は音階の中での順番を表す呼び方のことで、日本ではイタリア語の「ドレミファソラシ」を使って表すことが多いです。
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③音符や休符
楽譜上で音の長さや高さを表す記号を音符、音が休止している時の長さを表す符号を休符と言います。
四分音符や八分音符という名前を聞いたことがある方も多いと思いますが、これらは基準となる音符(全音符)の何分の1の長さかを表しています。
例えば四分音符は全音符の4分の1の長さです。
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④音階と調
音階とは、音を高さ順に並べたもののことです。
そして、音階の中で基準となる音を主音、その音から始まる音階で構成されているものを調と呼びます。
長調と短調では、この音階の並び方(使われる音)が異なるため、曲の雰囲気や印象が違って聴こえるのです。
▶詳しい解説記事はこちら(音階)
▶詳しい解説記事はこちら(調)
⑤拍と拍子
拍とは、等間隔で刻まれるリズムの中の時間のことです。
この「拍」がいくつかのまとまりになって、ずっと繰り返されていくのが拍子です。
例えば、「1 2 3 1 2 3・・・」というように、3つの「拍」がひとまとまりとなって繰り返されているものを「3拍子」といいます。
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⑥音程
音程とは、音と音の距離のことです。
例えば、「ド」~「レ」は2度、「ド」~「ミ」は3度というように、「度」を単位として表します。
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⑦和音
和音とは、高さの異なる複数の音(3つ以上)が同時に響くときの音のことです。
※元々3つだったものが1つ省かれて2つになった場合も和音と呼ぶことがあります。
西洋音楽では、心地よく響く音の組み合わせや配置にルールを定め、各和音に名称を付けており、そのルールに則った和音の総称をコードと言います。
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⑧速度
速度とは、その名の通り音楽を演奏する速さやその変化のことです。
演奏するスピードによって曲のイメージは異なるので、音楽を形づくっている重要な要素のひとつだと言えます。
▶詳しい解説記事はこちら
⑨強弱
強弱とは、音楽を演奏する際の音量の大小やその変化のことです。
楽譜上では、どのくらいの強さで演奏してほしいかを指示するために、「f」や「p」などの記号や用語が使われています。
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⑩反復記号
反復記号とは、曲中のある部分を繰り返すよう指示する記号のことです。
同じメロディを繰り返してほしい場合に、反復記号を使うことで、楽譜が簡潔化され、見やすくなります。
▶詳しい解説記事はこちら
⑪奏法に関する記号
楽譜には、「こんな風に演奏してほしい」という作曲者の想いが、様々な記号や用語を通じて表されています。
「cantabile」や「dolce」など、イタリア語が使われることが多く覚えるのも大変ですが、頻出の記号や用語を理解しておくと演奏しやすくなると思います。
▶頻出の音楽用語一覧はこちら
まとめ
さて、この記事では「楽典」とは何かについてと、最低限知っておくと役立つであろう基礎項目をご紹介しました。
かなりざっくりとした内容にはなってしまいましたが、少しでもお役に立てていれば幸いです。
もっと詳しく知りたい方は、ぜひ各項目の解説記事を合わせてご覧いただければと思います。
楽典をよりしっかり学びたい方には、こちらの本がおすすめです。
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