合唱コンクールや卒業式におけるピアノ伴奏は、ひとりで演奏するのとは違った難しさがありますよね。
そこで、この記事では、ピアノ歴30年以上で合唱伴奏を何度も経験した私が思う、合唱伴奏を成功させるコツをご紹介します。
伴奏を不安に思っている生徒さんや「伴奏者にどうアドバイスすべき?」と悩んでいる先生方の参考になれば幸いです。
合唱伴奏を成功させるコツ
①途中で止まったり弾き直したりしない
合唱伴奏において最も重要なことは、音楽の流れを止めないということ。
伴奏が止まってしまうと、指揮者や歌い手は多少なりとも動揺するので、その後の演奏に大きな影響が出てしまいます。
たとえミスをしても、途中で弾き直したり演奏を中断したりすることは、避けた方が良いです。
もし止まりそうになったら、片手だけでも続ける、小節の1拍目だけ演奏するなど、音楽の流れを止めないようにすると良いと思います。
②楽譜や鍵盤を見なくても弾けるレベルにする
ひとりで演奏している時とは違い、指揮者の動きや合唱に気を配らなくてはいけないので、技術的にも精神的にも余裕がなければ、伴奏はうまくいきません。
楽譜や鍵盤にかじりついている余裕はありませんので、何も見なくても弾けるくらいのレベルになっておくのが望ましいです。
そうすれば、演奏中に指揮者を見ることも、とっさのアクシデントに対応することも可能となります。
そこまで極めることが難しければ、指揮者と目を合わせる部分を数か所決めておき、その部分だけでも顔を上げて演奏できるようにしておきます。
③演奏のテンポを一定にする
速くなったり遅くなったり、伴奏のテンポが不安定だと、歌いづらいのはもちろんのこと、指揮者や合唱とだんだんずれてきて、聴きづらい演奏になってしまうことがあります。
一定のテンポで演奏することで、歌い手に安心感を与え、聴き手にとって心地よい音楽を作ることができるので、一人で練習する時にはメトロノームを使用して、速度を一定に保てるようにしておくと良いです。
④途中からでも弾けるようにする
授業でもクラス練習でも、「もう一度ここから」と部分練習を行うことが多いので、「途中から弾けないので最初から」という状態は避けたいです。
また、本番で万が一止まってしまった場合、すぐに演奏を再開できなければ、最後まで入れずに終わってしまうという事態になりかねません。
ゆえに、どこからでもすぐに弾き始めることができるような状態にしておく必要があります。
⑤バスはしっかり響かせ、伴奏形は軽く弾く
合唱の伴奏では、以下のような形が使われていることが多いです。
右利きだとどうしても右手で演奏する音が強くなりがちなのですが、右手の音がじゃかじゃかうるさいと合唱の妨げになるので、伴奏形(右手で弾く音)は軽く弾くことが大切です。
また、バスの響きは音楽を支える重要な要素になるので、バス(左手で弾く音)はしっかりと響かせるのもポイント。
合唱に重厚な響きをプラスすることができるだけでなく、ピアノのバスの音と、合唱のアルトやバスパートの音が同じ場合に安心感を与えることもできます。
⑥音量のバランスを考える
ひとりで演奏するのとは違い、あくまで"伴奏"なので、合唱に合わせた適切な音量で弾くことが大切です。
大きすぎては合唱をかき消してしまいますし、小さすぎては頼りなく聞こえ、弱々しい印象になってしまいます。
実際の演奏を聴かなければ適切な音量かは判断しかねますが、目安は、弾きながら合唱がほんのり聴こえるくらい。
合唱と伴奏が互いに遠慮することなく、ちょうどよいバランスで演奏できるよう、日々の練習の中で調整することが大切です。
⑦全パート歌える(弾ける)ようにする
伴奏者になると、つい伴奏の練習ばかりに気を取られてしまいますよね。
ですが、歌う側の気持ちを理解していた方が、良い伴奏はできる気がします。
ある程度伴奏が弾けるようになったら、一度、全パートを歌ってみるのがおすすめです。
そうすることで、
・この部分はこのように歌いたい。
・ここでたっぷり息を吸いたい。
というような、歌い手の気持ちを理解することができ、歌いやすい伴奏を行えるようになると思います。
まとめ
さて、この記事では合唱伴奏を成功させるコツをご紹介しました。
少しでもお役に立てていれば幸いです。
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