授業中の自習時間や自宅学習時の課題に取り入れやすい写譜。
手本とする楽譜によって難易度を変えることができるので、小学校から高校まで、すべての校種で実施することが可能な課題です。
ですが、写譜をさせる目的や方法が生徒にちゃんと伝わっていないと、「どうして楽譜を書き写すの?」「適当に写せば良くない?」と思われ、あまり課題として意味をなさない場合もあります。
そこで、この記事では、私の教員経験を基に、写譜を行う意味や写譜の進め方、ポイントについてまとめてみました。
写譜についてまとめたプリントは以下のnote(有料)で紹介しています。
写譜を行う意味や目的
歌をうたう、楽器を演奏するなど音楽活動を行う際、楽譜は必要不可欠です。
ですが、楽譜を正確に読み取るにはそれなりの経験と知識が必要です。
例えば、ここに4小節の楽譜があります。
この楽譜からは、旋律の動きやリズムに加えて、調や拍子、速度、強弱、アーティキュレーションなど、演奏時に必要な様々な情報を得ることができます。
ですが、楽譜の読み方を知らなければ、その情報に気付くことさえできません。
そこで、写譜の出番です。
楽譜を正確に書き写すことにより、「ここにこんな記号が付いているのか」「この部分はアルトとテノールが同じ動きをしているな」という情報に気付くことができ、そこで得たことを、演奏活動に生かすことができます。
つまり、写譜を行う目的は、
よりよい演奏表現のための情報を素早く得られるよう、楽譜に慣れること
だと言えます。
この目的を伝えるのと伝えないのとでは、生徒の写譜に対するモチベーションは大きく変わります。
写譜に限ったことではありませんが、この課題(活動)は何のために行うのかということを明確に示すことが大切だと思います。
写譜に適切な曲や長さは?
前項でご説明した通り、日頃の演奏活動に生かすために写譜を行うので、課題(例となる楽譜)は、校歌や合唱曲など生徒が表現活動に取り組んでいる曲が適していると思います。
また、長さ(小節数)は、8小節~40小節くらいがちょうど良いです。
私が実技試験中(約50分間)の自習課題に設定する時は、混声三部合唱の楽譜から16小節抜き出したものを課題としていました。
写譜を課題にする際の注意点
・事前に楽譜の書き方を確認
・縦線を書かない
・定規を使って音符のぼう(符幹)を書く
・けた(連桁)を黒く塗りつぶす
など、楽譜の書き方を知らないがゆえに間違えたり、時間が足りなかったりする生徒が稀にいます。
それでは写譜に取り組む意味がないので、課題を提示する前に楽譜の書き方を全体で確認しておくことが大切です。
・生徒のレベルに合った課題を用意
これは写譜に限ったことではありませんが、生徒にとって簡単すぎても難しすぎても適切ではないので、ちょうどよいレベルの課題を設定しなければいけません。
課題の難易度を低め(小節数を少なめ)に設定し、五線譜を余分に渡して「時間が余れば続きを記入してください」とするのもひとつの手です。
・評価の基準は明確に
課題を出すからには、評価を付けなくてはなりません。
その際、例えば「きれいに書けていなければ減点」のような評価規準だと曖昧で分かりづらいので、「何段目まで書けていたらA」「拍の頭の音符が揃っていないと減点」など、基準は具体的かつ明確に設定すると良いと思います。
写譜の進め方とポイント
それでは最後に写譜の進め方とポイントをご紹介します。
説明の仕方にお悩みの先生方の参考になればという思いでこの記事を書いているので、生徒に説明するていで記載していきます。
1.縦線・終止線を書く
まずは、縦線と終止線を記入します。
線を引く際は、定規を使うと、楽譜がより見やすくなります。
尚、大譜表の場合は、上下の五線にまたがって縦線と終止線を書き、2段を連結させるために「かっこ」を書き入れます。
2.音部記号、調号、拍子記号、速度記号を書く
楽譜の冒頭に書かれている音部記号、調号、拍子記号、速度記号を書きます。
ト音記号やヘ音記号の書き方にはルールがあるので、よく手本を真似ながら書くことが大切です。
また、拍子記号の、数字と数字の間の横線は楽譜を書く際には省略します。
3.音符・休符を書く
1小節内にすべておさまるよう、配分を考えながら音符や休符を書き込みます。
大譜表の場合は、拍の頭を揃えて書くのがポイントです。
4.演奏記号を書く
強弱記号の位置や、演奏記号の意味を意識しながら楽譜に書き込んでいきます。
5.歌詞を書く
音符と歌詞の位置を揃えるように書き込みます。
まとめ
さて、この記事では写譜の目的や進め方、ポイントをご紹介しました。
少しでもお役に立てていれば幸いです。
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