早春賦の意味やポイントまとめ

歌唱授業

「早春賦」歌詞の意味や作曲背景などポイント総まとめ!

元中学校音楽教師のめりーです。過去の授業経験を基に「早春賦」のポイントをご紹介します。

春を待ちわびている人々の思いや朗らかな風景を表現した日本の名曲「早春賦」。

教科書にも掲載されているので、今まさに授業準備をしている、あるいはテスト勉強中という方も多いと思います。

そこで、この記事では、「早春賦」の歌詞の意味や作曲背景など学習する際に役立つポイントをご紹介します。

学生の皆さんはもちろん、これから授業を行う先生方のお役に立てれば幸いです。

\指導案・ワークシートのダウンロードはこちら/

「早春賦」のポイント

1.そもそも「早春賦」ってどういう意味?

楽曲としての「早春賦」のポイントを確認する前に、タイトルでもある「早春賦」の意味をおさえておきましょう。

  • 早春:春の初め頃
  • 賦:漢詩を歌うこと、つくること

つまり、「早春賦」とは春の初め頃に作られた詩(歌)という意味になります。

2.作詞者は?

画像は龍光寺HPより引用

作詞者は、大分県出身の吉丸一昌(1873~1916)。

東京帝国大学在学中には修養塾をつくり、学生や上京した人たちの衣食住から勉学、就職まで面倒を見ていたそうです。

卒業後は東京第三中学校に教師として赴任。(教え子には芥川龍之介も!)

その後、東京音楽学校の教授となり、「尋常小学唱歌」の編纂委員会の歌詞担任委員主任となったことで、本格的に作詞活動を行うようになりました。

2.作曲者は?

画像はWikipediaより引用

作曲者は、東京都出身の中田章(1886~1931)。

東京音楽学校を卒業後、同校の教授として音楽理論やオルガンを教えていました。

「めだかの学校」や「夏の思い出」を作曲した中田喜直のお父さんです。


親子で音楽の教科書に載っているなんて素敵ですね。

3.曲が作られた背景は?

東京音楽学校の教授だった吉丸一昌は、自作の詞に曲を付けることを学生や若手作曲家たちへの課題としていました。

ある時、吉丸一昌は、校歌の作詞依頼を受けて長野県安曇野を訪れた際に、穂高町あたりで見た雪解けの風景やその土地の人々の様子に感銘を受けて詞を作成。

その詞に中田章が曲を付け、「早春賦」は完成しました。

4.歌詞の意味は?

こちらが「早春賦」の歌詞です。

早春賦の歌詞

黄色い網掛け部分の意味は以下の通り。

時にあらずと:まだその時ではないと
つのぐむ:芽が出始める
さては時ぞと:今がその時だと
思うあやにく:思ったのに、あいにく
知らでありしを:知らないでいたものを

これを踏まえて歌詞全体を訳したものがこちら。

春とは名ばかりで、まだ風は冷たくて寒い。谷にいるウグイスが歌うかと思ったが、まだその時ではないようで、鳴きもしない。

氷が解け始め、葦(アシ)の芽も出始めてきたので、そろそろ春が来たかと思ったのに、あいにく今日も昨日も雪の空だ。

春だと聞かなければ知らないでいたものを、聞いてしまったからソワソワして気持ちが昂る。この時期のこんなはやる気持ちはどうしたらよいのだろうか。

冬から春へと季節が変化していく様子が具体的に表現されていて、春を楽しみに待っている人々の心情が伝わってきますね。

5.どんな気持ちで歌うと良いの?

「早春賦」では雪解けの風景や春を待ちわびる人々の様子が表されていて、出だしの歌詞の「春は名のみの」は「立春(2月4日頃)」のことを指しています。

歌詞ではそんな人々の

  • 暦上では「春」だと知り、居ても立っても居られない様子
  • もうすぐ春が訪れることへの期待や喜び、嬉しさ
  • 春がやってきそうで来ないもどかしさ
  • まだ冬であることを残念がる様子

が描かれているので、春を夢見る明るい気持ちと、現実を知り残念で寂しい気持ちの両方が表せるよう、歌詞が表す情景を想像しながら歌うことが大切です。

6.似ている曲がある!?

「早春賦」はモーツァルト作曲の「春への憧れ」に似ていると指摘されることがあります。

確かに旋律の動きや曲の雰囲気が似ているような気がします。

中田章がこの曲を作った当時は、日本の音楽教育に西洋音楽を積極的に取り入れようとしていた頃なので、影響を受けていた可能性はありそうです。

→日本の音楽史についてはこちら

関連記事
日本の音楽史を元音楽教員が分かりやすく解説!
日本の音楽史を元音楽教員が分かりやすく解説!

続きを見る

まとめ

さて、この記事では「早春賦」のポイントをご紹介しました。

今後、皆さんがこの曲を聴いたり歌ったり、授業で教えたりする際にお役立ていただければ幸いです。

というわけで、今回の記事は以上です。

最後までご覧いただきありがとうございました。

記事の冒頭でもご紹介しましたが、「早春賦」の授業例(指導略案とワークシート)はこちらのnoteをご覧ください。


音楽授業におすすめのミニゲーム

ゲーム・クイズ

2022/5/24

音楽授業のスキマ時間におすすめのミニゲーム「ドレミでクラップ」

元音楽教師めりーです。この記事では音楽授業におすすめのミニゲームをご紹介します。 ほんの少しだけ授業時間が余ってしまった… どんよりした授業の雰囲気を変えたい… そんな時に私が取り入れていたのが、ミニゲーム「ドレミでクラップ」! 所要時間は1~3分ほどで、サクッと授業の雰囲気を和らげることのできる活動です。 やり方は非常に簡単で、何の準備もいらないので、授業で困ったその瞬間に取り入れることができますよ。 それでは「ドレミでクラップ」の進め方をご紹介します。 ミニゲーム「ドレミでクラップ」の進め方 ①生徒そ ...

ReadMore

世界の民族音楽授業案

常時活動

2022/5/17

世界の民族音楽を楽しく鑑賞!おすすめの常時活動「ミュージックトラベル」

元中学校音楽教師のめりーです。民族音楽の授業にお悩みの先生方に提案があります。 世界の諸民族音楽について、 ・数種類の音楽を鑑賞し、教師による説明を聞いて、感想を書く ・ホーミーやケチャなどの民族音楽をみんなで体験する という活動を軸に、1~2時間扱いの授業を行う先生が多いと思います。 ですが、1時間の中で数種類の音楽を立て続けに聴くと生徒は途中で飽きてしまいがち。 それに乗り気でない生徒に無理に活動を強要すれば、かえって音楽へのマイナスイメージは強まってしまいます。 そこで、私が提案したいのは、民族音楽 ...

ReadMore

早春賦の意味やポイントまとめ

歌唱授業

2022/5/11

「早春賦」歌詞の意味や作曲背景などポイント総まとめ!

元中学校音楽教師のめりーです。過去の授業経験を基に「早春賦」のポイントをご紹介します。 春を待ちわびている人々の思いや朗らかな風景を表現した日本の名曲「早春賦」。 教科書にも掲載されているので、今まさに授業準備をしている、あるいはテスト勉強中という方も多いと思います。 そこで、この記事では、「早春賦」の歌詞の意味や作曲背景など学習する際に役立つポイントをご紹介します。 学生の皆さんはもちろん、これから授業を行う先生方のお役に立てれば幸いです。 目次「早春賦」のポイント1.そもそも「早春賦」ってどういう意味 ...

ReadMore

授業におすすめのミュージカル映画

鑑賞授業

2022/5/18

音楽授業で見せたいミュージカル映画のおすすめシーン

元中学校音楽教師めりーです。 音楽の授業でミュージカル映画を扱う際の難点は上映時間の長さ。 説明や振り返りなどの時間を考慮すると、鑑賞に使える時間は30分~40分くらいが妥当です。 ですが、「どの場面を見せるべきか分からないし、研究する時間もない!」とお困りの先生も多いはず。 そこで、この記事では、音楽授業におすすめのミュージカル映画と、各作品のおすすめシーンをご紹介します。 音楽授業におすすめのミュージカル映画 ①サウンドオブミュージック リンク ミュージカル作品と言えば「サウンド・オブ・ミュージック」 ...

ReadMore

雅楽が由来の言葉

鑑賞授業

2022/4/26

現在も使われている、雅楽が由来の言葉【鑑賞授業ネタ】

元中学校音楽教師のめりーです。雅楽が由来とされている言葉をご紹介します。 一見、私たちの生活とはかけ離れているように感じる雅楽。 ですが、普段当たり前のように使っている言葉には、雅楽を由来とするものも多くあります。 そこで、この記事では、現在も日常で使われている雅楽由来の言葉をいくつかご紹介します。 \雅楽についてはこちら/ 雅楽が由来の言葉 塩梅 一般的には、塩と梅酢の加減からきたと言われていますが、実は雅楽でも古くから篳篥の奏法のひとつとして、この言葉が使われていました。(ただし読み方は「あんばい」で ...

ReadMore

オペラとミュージカルを分かりやすく解説

鑑賞授業

2022/4/27

オペラとミュージカルの違いを元音楽教師が解説!

元中学校音楽教師めりーです。オペラとミュージカルの違いを分かりやすく解説します。 歌やダンス、演劇が楽しめるオペラとミュージカル。 なんとなく「オペラの方が古そう」「ミュージカルの方が楽しそう」など両者が別物であることは分かっているものの、どこがどう違うのか分からない!という方も多いのではないでしょうか。 そこで、この記事では私が教員時代に授業で説明していたことを基に、オペラとミュージカルの違いを解説します。 目次オペラとは?ミュージカルとは?オペラとミュージカルの成立背景は?オペラとミュージカルの違いは ...

ReadMore

ゲーム感覚で楽しめる活動例

ゲーム・クイズ

2022/5/24

最後の音楽授業におすすめ!ゲーム感覚で楽しめる活動例

元中学校音楽教師のめりーです。音楽の授業ネタをご紹介します。 年度末になると毎年頭を悩ませることになる授業おさめ(最後の音楽授業)の進め方。 通常通りの活動をした後、1年間のまとめを行うのが定番ですが、せっかくなら生徒が楽しめるゲームを取り入れてみませんか? この記事では、最後の音楽授業に使える、遊び要素の強い活動をご紹介します。 目次最後の音楽授業に使える活動例・イントロかるた・「崖の上のポニョ」選手権・音符でBINGO!・円でクラップ!・音楽クイズ~生徒からの挑戦状・思い出メドレーまとめ 最後の授業に ...

ReadMore

Shared Pianoの使い方

器楽・創作・ICT授業

2022/4/27

音楽初心者でも大丈夫!Shared Pianoの使い方

元中学校音楽教師のめりーです。今回はShared pianoの使い方を解説します。 手軽にピアノ演奏や音楽づくりが楽しめるShared Piano(共有ピアノ)をご存知ですか? Chrome Music Labにあるので無料で使用でき、アプリのダウンロードも不要! 慣れれば以下の動画のような同時演奏(セッション)も可能な超便利ツールです。 使い方さえ分かれば、なんだか楽しい音楽体験ができそうな予感がしますよね。 そこで、この記事では、Shared Pianoの使い方をご紹介します。 ページ内の英語も簡単な ...

ReadMore

-歌唱授業
-,

© 2022 めりー先生の音楽準備室